
■本記事はボークスより商品の提供を受けて作成しています(PR)
名前を持たない「キ100」の設計思想を読み解いた、造形村の「1/32 五式戦闘機一型乙」。ニッパーを入れ、流し込み接着剤をテンポよく流しながら組み立てていくと、パーツ同士がピタピタと合わさる快感を味わう一方で、内部構造が立体として立ち上がるにつれ、当時の設計者たちが直面したドラマがダイレクトに指先へと伝わってきます。
>造形村 SWS 1/32 川崎 キ100 五式戦闘機 一型乙
まずは主翼の組み立てから。SWSの真骨頂である、外皮に隠れてしまう内部構造の再現に取りかかります。このキットでは、主翼の内部に這わされる頑丈な構造が美しく再現されており、そこに金属板を貼り付けて強度を持たせた、現代の航空機にも通じる「セミモノコック構造」を自分の手で実物さながらに組み上げていくことができます。

この段階では「本当に外皮が綺麗に閉じるのかな?」と少しドキドキするのですが、内側の桁構造と外皮のパーツを合わせてみると、これが驚くほどピタッと完璧に噛み合います。パーツの合いにいっさいのストレスを感じることなく、流し込み接着剤を使ってテンポよく形になっていく工程は、純粋に模型として最高に気持ちが良い瞬間です。


主翼のフロアから伸びる動索のロッドパーツが、コクピットの操縦桿とカチッと繋がる瞬間は、まるで本物の飛行機のコントロールシステムを繋いでいるかのような興奮があります。静止したプラスチックの塊であるはずの模型から、今にもパイロットが操縦桿を動かして動翼がそれに応えるかのようなリアルさが指先を通じて感じられます。


もちろん、胴体内部には酸素タンクをはじめとするたくさんの補器類がぎっしりと収まります。外板を閉じれば隠れてしまう部分ですが、流し込み接着剤を流しながらカチカチと組み上げていくと、自分は確かにその中身と対話したんだぞ!という記憶を脳に刻み込めます。これぞ「組んだ人だけが知っている」をたくさん仕込めるビッグスケールならではの贅沢な特権です。

本キットが緻密なディテールと組みやすさを両立していることをストレートに感じられる場所が排気管です。空冷星型エンジン特有の「ひとつひとつのシリンダーから出てきた排気管がエンジンカウルの側面できちっと揃っている様子」が左右それぞれワンパーツで表現されているのです。一本一本を別パーツにすることもできるはずですが、同社のフォッケウルフFw 190にも通じる設計思想で終端をスライド金型で開口しながら一体のパーツとすることにより、ビシッとキレイに揃った排気管の姿を味わえます。


写真の順番は前後しますが、細身の胴体に丸くて太い空冷エンジンをマウントする、本キット最大のクライマックスもまた組んでいて非常に楽しいところ。実際にカウリングを組み立てて胴体と接続してみた瞬間、その位置関係のいびつさに思わずギョッとします。「エンジンが思ったよりかなり胴体下方にオフセットされてマウントされているな……」ということに気づくからです。

四角く幅の狭い水冷エンジンを前提に作られたスマートな胴体に対して、円形の巨大な空冷エンジンを強引かつ綺麗にマウントする。正式な命名手続きすら省かれるほどの状況のなか、前面視界を確保するためのライン、懸架するフレームの苦労、取り付け強度、あるいは空冷化による激しい振動への対策などなど、考えなければいけないことがたくさんあったはずです。そうして生まれた「いびつな、しかし最高に合理的なライン」が、立体的なパーツの組み合わせとして体感できる。ただエンジン載せ替えただけなんて、そんな簡単な話じゃないのよ〜!という実物のリアルを体感できるのはSWSだからこそ。模型を越えた、極上の歴史追体験がここにあります。

これだけ素晴らしい内部構造、すべて外板で完全に閉じてしまうのはあまりにももったいない……ということで、片側の外板をあえて取り付けず、内部のフレームやメカ、空間を縫うように走る動索のルートが露出するハーフスキン状態で仕上げてみました。これがやはり、めちゃくちゃオススメです。

完成した機体を眺めると、実機の試行錯誤があらゆるところから視界へ飛び込んできます。実機をただそのまま縮小したのではなく、そのメカニズムの凄さを1/32というサイズにギュッと圧縮したかのような素晴らしい佇まい。まるで博物館のカットモデルや、吊り下げ展示を底面から見上げているような、最高の贅沢が机の上に現れます。

組んでみて、なぜ造形村が飛燕からのパーツ流用ではなく単体としての五式戦にこだわってこのキットを立ち上げたのか、その理由がハッキリと分かりました。急転直下の空冷換装というドラマ、そしてメカニズムの泥臭くも美しい試行錯誤こそが、SWSの持つ「模型で実機を読み解く」というコンセプトと100%シンクロしているからです。これまで「パーツを共通化した従来の五式戦」を組んだことがある人にこそ、ぜひ体験してほしいナイスキットになっています。