
自動車模型に触れるようになってから1日1度は必ず「アオシマってすげえな」と思うのですが、そのすごさというのはよくわかんないなりに接していても楽しいけど、ちょっと勉強するとものすごいマニアックなことをやっていることに気がつく……というやつで。このビートルもさ、元気いっぱいのカラーリングでバリエーション展開するんですね〜くらいの気持ちでお迎えしたら大変なことになってるわけですよ。

事前に公開されるメーカー完成見本がバリバリの塗装済みなので、楽プラでいつもたのしみなのは成形色(=プラスチックの色)を初めて見る瞬間。ハコを開けて出てくるのはソリッドカラーのコーラルピンク、そして3種のメタリック。コーラルピンクはホントにサンゴみたいな色でめっっっっっちゃキレイだし、メタリックオレンジとメタリックパープルはムラなくギラギラした色でテンション上がります。ストラトシルバーは色と粒子感のバランスが難しいのか、表面にウェルドマーク(ビヨビヨした模様)が目立ちます。

ストラトシルバー/コーラルピンクにはWバンパー(USバンパー)が付属……と知ったようなこと言ってますが、これ1955~1967年式の北米向け仕様にだけ見られる特徴で古いビートルを象徴するアイテムだからみんなが憧れるんですよ〜みたいなことを教わると「なるほどぉ〜」となるわけです。

メタリックパープル/メタリックオレンジにはバンパーではなくTバーが付属……とこれまた知ったようなことを言ってますが、調べ物をしていくと今回のバリエーションというのは単なるビートルの色替えじゃなくて、「キャル・ルック」というキーワードを模型化しているんですね、ということがわかる。初心者マーク付いた塗装不要接着不要のプラモデルだけど、空冷VWのカスタムカルチャーどまんなかをキチーっとパーツ化してビートルファンにビシバシ目配せしている。調べ物してよかったぁ。

日本におけるVWビートルについて読み進めていくと必ず行き着くFLAT4というスペシャルショップ。そこにまつわるたくさんのエピソード、カルチャー、そして憧れの個体を再現するためのナンバーやストーンガードがシールになって用意されている。なんならその可愛い見た目の中には獰猛なエンジンが潜んでいるんだぜ……ということまでわかってくると、一気にビートルの世界に引き込まれます。ただ組んでるだけでも面白いのに、スタイルやシールが気になってドボンと飛び込むと、そこにはめっちゃワクワクする世界が広がっている。いいなぁ。間口広く、奥行き深い、プラモデルの楽しさ。

初登場時はドイツ生まれの国民車をとんでもない丁寧さで掬い取り、いわゆる「ツルシ」のオーセンティックさ、厳粛さを漂わせていた楽プラのビートル。そしてカラバリと追加パーツでアメリカ西海岸のカスタムカルチャーへと軽やかに飛躍し、いまだこのマシンを愛して止まないファンと言葉なき交流をする。同じ金型を使いながら、ちょっとの違いで時空を超えるアオシマの鮮やかな手腕が眩しい一作なのです。