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張り線作業で感じる、再現の嘘と構造の真/Azurの1:72 SPAD 510を完成させる

 翼を二階建てに組み立てるだけでも、「ここでミスしたらすべてが台無しだ」という緊張感に汗をかく。そこへさらに何本もの線を張るというのだから、考えるだけで頭の中はぐるぐるしだす。手順を想像しては「明日でいいか」と自分に言い聞かせ、数日間、未完成の姿を眺めては「もっと元気な日にやろう」と後回しにしてしまう。それが、張り線という作業だ。

 これを乗り越えるには、一度手順を書き出して、頭の外へ出してしまうのが最善だと思う。終点には穴を開けて、起点に瞬間接着剤で釣り糸を取り付けてる。その後、翼を組み上げたら線を通し、テンションを掛けた状態で接着剤が固まるのをじっと待つ。こうして作業を分解してみれば、漠然とした未知は一つひとつの確かなステップへと変わり、やってみると案外うまくいく。

 いざ始めてみると、そこには複葉機づくりならではの独特な魅力があることに気づく。完成した時はもちろん、作っている最中ですら「え、これすごいな」と思う。重なった翼の強度を心配しながら、プラスチックでは表現しきれない極細の線を、釣り糸という異素材で再現していく。この精密さに没頭する時間は、ここでしか味わえないものだ。

 かなり終点に穴を開けているので実機とは違う部分はある。本来、張り線は翼を貫通してなどいないんじゃないか。きっと、小さな金具を自作して線を繋ぐのが正解だろう。しかし、それはそれで違う難しさがありそうだ。ただ面白いのは、このプラモデルっぽい嘘がある張り線であっても、作業を終えると二枚の翼の強度がぐんと上がるのを実感できることだ。まるで家具の筋交いを渡したときのように、線が構造を支えている確かな手応えがある。

 張り線をやる上で本当に肝心なのは、プラモデルそのものの翼を二階建てにしたときの精度なのだが、Azurの1:72 SPAD 510は上下の翼を繋ぐ支柱にしっかりと接着しろがあるので取り付けやすい。反対に、操縦席付近のものは無理に接着しようとせず、張り線を通してから位置を調整してもいいと思う。

クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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