
ピグメントを乗せて、筆で押しつぶしたときのあまりにも事態が早く進む感じは言葉にしてもし尽くせない驚きがあります。こんなにも劇的に!と思いながらピグメントの言葉の意味を調べると「顔料」ということなので、純然たる着色用マテリアルなだけはあるな……という気持ちになりました。

「怖いなぁ」と控えめになってしまう部分も、最初から全部汚し尽くしてやる、という気持ちでウェザリングに手をつけていれば「汚し足りない箇所」という全く違う視点で見ることができます。この一回を経験するのが本当に難しいなと思いますが、やってしまえば次から楽なのも事実です。それにボロボロにしてやろうと思って作ったプラモならどんどん汚していけます。
気になるものは全部使おうというわけでウェザリングリキッドを乗せて変化を見てみたり、ウェザリングペーストの泥をやたら塗りつけてみたり、二色使ってみたりとやりたい放題。ただし、ただめちゃくちゃにするというよりは「いつもより多く使ってみよう」とか「これとこれを混ぜるとどうなる?」といった実験をし続ける感じ。

汚れ具合の仕上がりをチェックすることだけに集中する機会も珍しく、錆びていき、泥がついていく中でも、良し悪しの判断がつくものです。作業が一段落した後に外に出て、駐車場に止まっている工事現場帰りのトラックを見てみると「いまいちだなと思った部分が、逆に実在している風合いだ」なんて驚くこともありました。

戦車についた汚れはウェザリングカラーのうすめ液と綿棒を使ってどんどん落としていけるのかと思いましたが、あまりに盛り過ぎるとそういうわけには行かず、筆でうすめ液を全体に塗りつけてから綿棒で拭き取った方が良かったです。あと、全体的に砂が被ったようになると、戦車の色自体が目立たなくなるので、鮮やかに仕上げておいた方がメリハリがついて良さそうです。

ボロボロに錆び、土まみれ泥まみれのチャーチルは妙な迫力があります。様々な素材を使うことでプラスチックの塊からどんどん離れて行く、道具によるプラモデル表現の進歩の要素を強く抽出した仕上がりとでもいいましょうか。汚しまくりの経験は次のプラモにもっと生かされることでしょう。