
『北欧空戦史』を読んでから「冬戦争、英雄譚の宝庫では…!?」と、スカンジナビア半島1939に発熱中の私。さっそくハセガワのフィンランド空軍セットを二枚おろしの半身にした。プラモデルの組み立て途中でしか垣間見れない断面図であり、そこからしか読み取れないキャラクター性がある。戦闘機としての運動性を優先した小柄な独Bf109G、対して堅牢さ重視で寸胴な米バッファロー、同スケールとはちょっと思えないほどの違いがある。この独米異なる設計思想の戦闘機は故あって救国の英雄となり、多くの撃墜王が輩出された。その両機を乗り継いで伝説となったパイロットが愛機と共にキット化されているのを知り、速攻で手にとった今回である。

祖国を守るため100機前後を狩ったという撃墜王、エイノ・イルマリ・ユーティライネンその人が1/32スケールのレジン製フィギュに。原型を手掛けたのはSculpture Beauty’sでおなじみ辻村聡志氏。無傷の撃墜王と呼ばれた冷静沈着なイメージどおりの立ち姿に「思ってた通りのイケメン!」と声が出た。氏の圧倒的な造形力は「可愛い、綺麗」とは別の「凛々しい、精悍」というベクトルにもおいても遺憾なく発揮されている。凄い。ゲート跡を削り落として腕だけ瞬間接着剤で付ければスグに拝める撃墜王の立ち姿。北欧空戦史の読後だとこのフィギュアだけでも満足高く、一緒になってランナー眺めているだけで酒がススム。
ランナーの状態でも『B-239 バッファロー』と『メッサーシュミット Bf109G-6』のキャラクター性の違いはしっかり見て取れる。ともにベテランキットと思われるが、ハセガワの1/72スケールおなじみの適度なパーツ点数なので切って貼ってがテンポ良く進んでいく。なので2機続けて組むことにストレスはなく、楽しいばかりだった。機体や主翼の彫刻もシャッキリ刻まれていて満足のディテール。無塗装でも機械のリアル感が湧き立ってくる。


中翼機と低翼機という主翼においてもまったくキャラクターが違う独米の2機。フィンランド空軍のマーキングが同封されているので、どちらも北欧の小国を守り抜いた英雄として仕上げられる。とはいえ一方は枢軸国代表、もう一方は連合国代表の機体。なぜ、どうして? そう、独米以外にも英、仏、蘭、伊から飛行機がかき集められた冬戦争〜継続戦争。なんなら相手のソ連の飛行機も落として、拾って、修理して使う。あるモノを組み合わせて改造する。とんでもドラマ満載でフィクションを凌駕するようなフィクション性をもった史実がその時の北欧では……。みんな! とにかく『北欧空戦史』を読もう!

北欧空戦史メガネをかけてからは「けっこう最近でもフィンランドネタのプラモが発売されているんだ」と驚いている。今回のキットだってまぁまぁ新しい。いろいろ物色しているとここ2年ほどのタミヤニュースがフィンランドの軍装備、博物館、戦跡を再フィーチャーしていることを知り、バックナンバーを集めて読み漁っている。「民族の独立を守るため」という生々しいイデオロギーが核にあるのは外せない話なのだが「ウチになんもないけど工夫でなんとかしよう!」という苦境にめげないDIY精神のあり方とも捉えている。なので彼らのたくましさにあやかるべく、私のフィンランド軍プラモを買い求める旅が今まさに始まったのである!