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プラモデルで巨大砲をレールの上に/ハセガワの列車砲「レオポルド」を開ける!

 列車砲ってスゴい。戦車と鉄道が好きならそれが合体したカレ・ギュウみたいな物体である。このK5という列車砲は25両も作られ、砲身長は21.5m。実戦では直径28cmもある弾を撃つ。なかでもいちばん有名なのが「レオポルド号」(ドイツ語読みは「レオポルト」)として現存しており、ハセガワから1/72のプラモデルになって発売されている。もとは1975年製のキットとあってだいぶお手頃価格なので、軽率に入手できるのがヤバい。

 1/72と一般的な戦車模型の約半分の縮尺だが、完成時全長は444mmとだいぶ迫力がある(細長いので置き場にも困らない)。大砲を乗せる巨大な梁はワンパーツとなっており、ほとんどが前後にある6軸の台車を組む工程なのでパーツ数はそんなに多くない。線路も付いているし、その枕木には木目も彫刻されているし、ミリタリーモデルを組みながら鉄道模型も楽しめてしまう。K5は砲身の上下こそできても、左右に向きを変えられないので巨大なターンテーブルの上に乗せるか、レールの曲線区間をちまちま動くか、十字にクロスした線路の上で前後の台車を動かすことで狙いを付けたのだという(組んでその動きイメージしてみよう!)。

 なによりイカすのが、この巨大な兵器は勝手に動いて勝手に弾を撃つわけではなく、めちゃくちゃ大量の人間が車両の上でワラワラ動いてようやく機能するということ。一回撃ったら砲身を水平に戻して装填しなきゃいけないから、1時間で発射できるのは10発前後。巨大で重たい弾はクレーンで引きずり出して列車砲の上にある運搬車に載せて砲尾に送り込むから、なんと鉄道の上に乗った車両の上にさらにプチ鉄道を敷く、というめちゃくちゃなことになっているのである。

 ただ静かに列車砲が真っ直ぐなレールの上にあるだけではまるで戦後の博物館展示のようだが、こうして人間がそれぞれの仕事をしているのを見るとその大きさがわかるし、なによりこの兵器がどれだけ壮大なアイディアだったのかが視覚的に捉えられるというもの。そして今回のハセガワ製プラモデルには大量の兵士フィギュア(計24体!)がくっついているから、車両の上や周囲に置いて遊べるのだ。

 1/72のフィギュアはだいぶ小さいけど、それぞれに案外凝った彫刻となっていて、ポーズや装備品にもバラエティがある。動くギミックあり、ディスプレイ用の台座としてのレールあり、さらにこの兵器と兵士を組み合わせることでジオラマとしても機能する……というお得感はこのプラモデルならではの特徴。ただ組んで飾るだけでも確実に「変な景色」が生まれるので、みなさんもぜひ軽率に組んでもらいたいわけです。さあ、どうぞ!

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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