

今年、2023年の静岡ホビーショーは大盛況だった。「大盛況だった」なんていうのは毎年恒例の大型イベントなら毎年言う常套句でしかないのだけれど、新型コロナウィルスをとりまく2020年の中止、翌2021年の業者向け日程のみの開催、そして去年2022年の一般入場/モデラーズクラブ合同展示会を含めた復活開催を遂げるも、コロナ禍以前の状況と比べればずっと抑制された混雑具合だった。
それが今年、2023年はイベント開催に対する制限も緩和され(事前登録や受付上限、検温等はまだ残っている)これまでのタガが外れたような(常套句ではない本来の意味での)「大盛況」だったのだ。業者招待日は関連業者として14年、一般公開日は一模型ファンとしてここ6年は毎年静岡ホビーショーの景色を見てきた自分の体感としても、本当に大盛況だったのだ。
そんな2023年の静岡ホビーショーのトレンドは……まさかの「恐竜」だった。ホビーショーというのは生粋のプラモデルファンならわかると思うのだけれど「自分の興味のあるものばかり見てしまいがち」なのでさっぱり実感の湧かない人もいるかもしれない。

けれど俯瞰して全体を見てみると、もう、どうしたって恐竜なのだ。「今年のホビーショーのトレンドはコレです」というための指標があるわけではないし、一般日に併催されるモデラーズクラブ合同展示会で恐竜の作例が溢れていたわけでも無いけれど、新作ガンダムに気を吐くバンダイブースの入り口は巨大プラノサウルスのディスプレイ(!)だった。ブースの奥にはガンダムの大きなディスプレイもあるというのに、この最も多くの人の目に触れる入り口前の超☆一等地に恐竜が置かれたのだ。


加えて同社の「組み立て体験会」で採用されたのも恐竜。しかも(今のところ)一般販売されていない体験会用に起された(!)ヴェロキラプトル。既存ラインナップにはまだない外観を透明成形にして中の骨格が透けるよう透明成形された仕様は、無料で参加できる/貰える以上のバリューを備え同社の恐竜プラモデルへを強烈にプッシュするプロモーションとなっていた。まさに今、新作を展開中の同社の看板コンテンツである「ガンプラ」をさしおいての破格の扱いだったと言えるだろう。

ホビーショー恒例、タミヤが持ち込む「会場で実際にプラモデルを生産するデモンストレーション」に選ばれたのは例年の鎧武者を破って(?)のカスモサウルスの幼体だ! ポコポコ生産されていく仔カスモは、当たり前のように無料配布。とくに金曜日に設定された地元の学校をの社会科見学の一環として招待する「キッズデー」においては「ポコポコ貰えてサクサク組めて、組んだ後は塗料メーカーの体験コーナーで塗らせてもらう」という黄金コンボが発生し、恐竜モデラー育成のために用意されたんじゃないかとさえ思える様相を呈していた。


その射出成形機のデモのすぐ隣にあるのが(逆だ逆…)タミヤ模型のブース。現在進行形で(バンダイ/フジミ/海洋堂/WAVE etc.……)が恐竜プラモを展開する状況にあって、タミヤも往年の恐竜プラモデルの一挙再販を発表。筆者もここ最近の新作キットリリースに当てられてタミヤキットの市場在庫をコツコツ買い集めていたところだったのでタイムリーな再販だ。
比較的目にしやすかった「1/35恐竜世界シリーズ(1993~1994)」に加えて、さらに10年以上発売時期を溯るオールドスクールな造形の「1/35恐竜シリーズ(1980~1981)」まで網羅した再リリースは、恐竜の考証の進化の歴史を俯瞰できる意味でも興味深い。

さらに、ここ1年で一気に生き物系プラモデルの雄に躍り出た海洋堂からは「研究員とティラノサウルスセット」がリリース。研究員が飼育しているティラノサウルスに触れるというSFシチュエーションを用意することで成立した世界初の「腰を下ろしたティラノサウルス」のプラモデル。このセットに収録のティラノサウルス幼体がこれまた無料配布される大盤振る舞い。海洋堂ARTPLAのTwitterアカウントフォローと該当ツィートのRTで貰えるこのキャンペーンは、通路を挟み北館/南館に分散された企業ブース配置と相まって、会場の方々で恐竜が展開されている(言ってしまえば、バラまかれている!)という状況を生み出すに至り、もうここまで読めば納得していただけますね? 2023年のホビーショーのトレンド一位は文句なしの「恐竜」だったんですよ!


しかもバンダイと海洋堂の配布したキットはどちらも羽毛を生やした姿で作られている「2023年最新考証版」。タミヤのカスモサウルスは93年発売の考証としては古いキットなのだけれども、むしろこの30年の考証の変化(同一種ではないのだけれど)が感じられる並びになって面白い。
この30年で恐竜はフサフサになりました。あなたはどうですか?(オイ)私は白髪が増えました。

フサフサになった恐竜は鳥へと進化する。タミヤの楽しい工作シリーズ新作「歩いて泳ぐアヒル工作セット」はタミヤの硬派なブランドイメージ(実際にはこういうアイテム珍しくないんですけどね)とのギャップからか今回のホビーショー発表商品単体で最もツイートがRTされたと思われる存在。恐竜の進化した成れの果て……鳥類。その鳥類であるアヒルのプラモが覇権を獲った(本当に!?)2023年静岡ホビーショーであったということをここに記録しておこう。
でもこのアヒル、大人が笑顔で話題にする一方で自分が知る限りキッズデーではあまり人気を集められていなかった様子なんだよね(子供が飛びつくようなルックよりも少々「リアル」寄りではあるかもね)ってことも、記憶に留めておきたい……。いやはや、続々と発売される恐竜プラモ。どれも発売が楽しみですね。