──「自身が確信に変わりました」。
1999年、平成の怪物・松坂大輔がイチローとの初対決で3奪三振後のヒーローインタビューで言った言葉です。ここまでスケールは大きくないかもしれませんが、Mr.ウェザリングカラー(「ウェザリング」とは模型用語で、プラモに汚し塗装を加えることを言います)を使って見てなんとな~~くかっこよく汚せる自信が付いた人が、この本を読んで筆を動かしてみると塗料の特性や理論が上積みされ、自分が行っている塗装にさらに自身が付くこと間違いなし。「俺はこれからも楽しくプラモを汚していける!」という確信が芽生えると思います。それくらいのことが、今回のアーマーモデリングには詰まっています。
タイトルは「ヨシオカ・クレオス・ミグのウェザリング」。クレオスと言うのは、模型用の塗料や工具を開発・販売しているメーカー「GSIクレオス」のこと。ヨシオカ(吉岡和哉)とミグ(ミゲル・ヒメネス)は、世界を代表する戦車モデラーのこと。実はこの二人は、GSIクレオスより発売されているウェザリング用塗料をプロデュースしています。塗料の生みの親であり、超絶戦車模型がうまい最強のモストデンジャラスアニキに解説してもらおうぜ! ってのが今月のアーマーモデリングなのです。
各カラーはどのような表現のために作ったのか、色を組み合わせるとどうなるのか? などなどを実際に模型を完成させながら見せていくHow to形式や、塗料にクローズアップしたピンポイントな解説でご紹介していきます。
吉岡氏とGSIクレオスの商品担当の対談は、Mr.ウェザリングカラー誕生秘話から、ウェザリング塗料に限らず現在GSIクレオスが開発している塗料についてのお話も紹介されています。
キャッチにもある通り「黒」という、プラモの世界でもとても強い極端な色とされているカラーが一番売れているという事実も語られています。その背景には「ガンプラ」があるそうです……ぜひ読んで欲しいです。
今回誌面に多数登場するのが「水性ウェザリングペイント」(表紙の戦車はこちらを主に使用して汚されています)、「Mr.ウェザリングカラー&ペースト」、ミグがプロデュースした「八雲カラー」です。全てGSIクレオスによって発売されている定番ウェザリング塗料なので、多くの模型・量販店で購入することができます。本を読んで使いたくなったら、すぐに注文できる手軽さが嬉しいですね。
ひとつのセットの中で汚しが完結するようになっているのが、ミグプロデュースの「八雲カラー」。商品にも各色の塗る順番や用途が書かれているのですが、その結果どうなるかがビジュアルではさすがにありません。「本当にそうなるのかな……八雲ってそもそも何? あとミグって人ちょっとイケメンすぎない?」とか様々な不安と嫉妬がこのパッケージの中に渦巻いています。本書では、説明書では分からなかった「ビジュアル面」を大きく補う記事が構成されています。これを読めば、もう怖くないです。そしてミグがイケメンから俺たちのアニキ! に変わって見えてきます。最高だよ。
日本各地で買えるGSIクレオスの定番ウェザリング塗料は、性能も素晴らしいのでなんとな~く汚してもカッコ良くなってしまう凄さがあります。でもこの製品のことを今月のアーマーモデリングで知ると、さらに一味違った使い方が可能になります。読むだけでなく、手を動かことでそれはあなたの中で確信になると思います! 「こうだったらな~」「こうするとどうなるのかな~」と頭でポワンとしたりボソボソ言っているなら、ページを開いて最強のアニキ達が導くままに筆を取ってください。それが模型誌の最高の楽しみ方です!! 秋の本格模型シーズン、みんなでカッコイイ汚しを楽しみましょう。
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)