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「プラモデルの楽しさ」をみんなが伝えられる場所へ/nippper.comが2周年を迎えた話。

 最近はバーテンダーという職業に惚れ込んでいる。この世に何万とある種類の酒のなかから、これはと思うものを厳選し、棚に並べてお客さんに手を変え品を変えおすすめする仕事だと感じるようになった。カウンターを観察していると、お客さんも十人十色。酒のことをよく知っていて自分の好みをしっかり伝えられる人もいれば、バーテンダーに任せきりで会話や新しい酒との出会いを楽しむ人もいる。

 バーテンダーの仕事もいろいろだ。状況に応じて棚の酒をストレートで出すこともあれば、得意なカクテルをスッとおすすめしたり、お客さんの好みや今日の心と体の状態を聞き出してそれに合った独創的なドリンクを作ることもある。カタログを眺めたり、自分の限られた語彙を使って検索するのとは違う、言葉によるコミュニケーションがいつもの味や新しい味との出会いを生んでくれるのが素敵だと思う。

 2年前、からぱたとフミテシの二人が書き手となって始めたnippper.comは今日で2年目を迎えた。1日3本だから、これまでにおよそ2000本のプラモにまつわる記事を書いてきたことになる。もちろんそれはふたりだけの力ではなくて、「私もオススメのプラモがある」と集まってきてくれた延べ70名以上の寄稿者のみなさまのおかげだ。だれもがプラモデルのすべてを知っているはずもないから、各々がひっそりと温めてきた(あるいは突如訪れた)素敵な出会いを言葉と写真に乗せて、誰にともなくスッとオススメするという行為をたくさん集めるのがこのサイトの面白いところだと思う。

 誰か一人が傑出したバーテンダーなのではなく、原稿を寄せる皆が等しく「見ず知らずの誰かをおもてなししてみよう」と思う気持ちがあったればこそ、ストレートで個性豊かな読み物を、同じく個性豊かな読者の皆様に届けることが出来ているように思う。

 nippper.comは積極的なバズを求めていない。淡々とプラモを楽しんで、日常にプラモがあって、そこでふと嬉しくなったり驚いたりしたことをきちんと言語化して、ひとまとまりの記事として残しておくことが重要だと考えている。いわゆるSNSで瞬時にワッと話題になり、深く吟味されることなく消費される情報も多くの人を動かす力を持つかもしれないけれど、このサイトでは多くの人の声をなるべく強い地盤に固定したい。

 一見目立たない名所旧跡の由来を記した看板を旅人が通りすがりに読んで一生忘れないことがあるように、誰かがごく普通に過ごした「プラモのある暮らし」にも、きっと誰かの心を動かし、ずっと残るようなメッセージが隠れているはずなのだ。

 だからこそ、nippperはこれからも「毎日がプラモとある人々」がなんとはなしに集まり、そこで誰にともなく語りかけるようなサイトとして存続していくのがいいと思っている。その声は同じくプラモデルを趣味とする人だけでなく、いつか突然このおもしろくも不思議な趣味に魅入られる人にも伝わるはずだ。

 このサイトをいつも読んでくれている方々に大きな感謝を伝えるとともに、ぜひともこのサイトをともに作る仲間になってほしいと願っている。皆様のプラモに対する知識と情熱がひとりでも多くの人に伝わり、そっと背中を押すきっかけになり、さらに多くの輪が広がることになれば、プラモデルを取り巻く環境はきっといまよりももっと豊かでオープンなものに変化していくはずだ。「買って作る」のその先に、「語り読まれる」というコミュニケーションが花開くよう、nippperはこれまでどおり、たくさんの記事とそれを書く場所を皆さんに提供し続けようと思う。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

▲素敵なプラモは何度作っても楽しい。2年ぶりの再会だね

 タミヤの「ドイツ野戦炊事セット」は、nippperの産声と共に記事がアップされた、とても思い出深いプラモです。nippperが2周年を迎えたこのタイミングでもう一度会いたいと思い、模型屋さんに行って買ってきました。箱を開けると、おいしそうなパンやチーズ、笑顔が眩しいアニキと腹ペコアニキたちのパーツがタミヤのきれいな枠に収められています。プラモはいつだって変わらぬ姿で、僕たちを待っていてくれますね。

▲「こう見えて、戦車模型のシリーズなんですよ」って誰かに言いたくなるほど魅力的。誰かに教えたくなるプラモ、皆さんの中にもあると思います

 ドイツ野戦炊事セットのようなプラモの景色に出会えると、本当に嬉しくなってしまいます。このような出会いは、nippperをスタートしてからの2年間に何度も体験できました。なぜなら、紹介してきたプラモのほとんどが自分にとって初めて組むものばかりだったからです。読者の皆さんのように、僕にとってもnippperは出会いの場であったのです。それゆえに毎日がエキサイティングだったし、「楽しかった!」「この工具はスゴい!!」と常にストレートな言葉を書けたのだと思います。

▲プラモデルの魅力のひとつに「それぞれのキットの楽しさを伝えるためのイラストや文章があるんだ」ということをドイツ野戦炊事セットは教えてくれました

 だからこそ「nippperを読んでこのプラモを買った!」「このジャンルが好きになった!!」「こんな風に作ってみた」という言葉や写真を見ると素直に嬉しい。

 記事がアップされるほんの少し前まで、その記事の書き手が「楽しかった!」と思っていたことが共有され、楽しさが広がっていく……これによって僕自身の模型生活もめちゃくちゃ楽しいものになっています。

▲2年経って、自分が好きなイメージで君を作ることができたよ。そしてとっても楽しかった。ありがとう。ずっと大好きなプラモです。

 3年目も僕のスタンスは変わらず、プラモを楽しんだことをストレートに書いていこうと思います。楽しかったプラモには素直に好きと伝えたい。プラモを楽しんで誰かに何かを伝えるとき、決して飾ることなんてないんです。

 プラモを作った人の数だけ楽しいがあります。そして、それを発信できる場所として、僕たちがいます。気負わず、あなたの楽しかった気持ちだけをnippperにぶつけてください。その思いは絶対に届きます。これからも多くの人とnippperと言う場所で、プラモの楽しいコミュニケーションを取っていきたいと思っています。

 3年目のnippper。ぜひ僕たちと一緒にプラモの楽しさを共有し発信していきましょう!!

▲笑顔が描かれているプラモが最高じゃないわけないじゃんね!
フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

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