最新記事やプラモデル情報を毎日お届け!
follow on Xをフォロー!

戦車プラモ塗りましょう/タミヤ T-55エニグマ

 組んだ状態で置いといてもバツグンにカッコいい戦車のプラモ。さらに戦車模型のいいところは、全部組み終わった状態からでも塗れてしまうことだ。ちょっとした時間を使って、あまり難しいことを考えずに、シンプルに楽しむ。「戦車模型 塗り方」とかで検索しても案外これという正解は出てこなかったりするので、あれこれ試しながら塗ってみよう。

 まずは基本になる色。好きな缶スプレーを一本買ってきてバーっと吹いてしまってもいい。今回はカッスカスに色の浅いベージュが欲しかったので、手持ちの塗料からタンをチョイスした。戦車模型はあとからどんどん汚し塗装をすることで色が沈んでいくから、最初はうんと明るい色がいい。指定の色で塗るのもいいけど、模型店の塗料の棚を眺めて、イメージに近くて明るい色を選ぶのも楽しいのだ。

GSI クレオス(GSI Creos)
¥174 (2026/03/30 21:09時点 | Amazon調べ)
GSI クレオス(GSI Creos)
¥678 (2026/03/30 21:09時点 | Amazon調べ)

 つぎは転輪(車輪)の周りに付いているゴムを塗る。その名もズバリ「暗いゴム色」という塗料がある。タミヤからはラバーブラックという塗料も発売されているので、それを選んでもいいだろう。鋼鉄でできた車輪とゴムの境目にほんの少し段差があるので、筆の穂先をそこに引っ掛けてくるりと塗る。いきなり真円が塗り分けられるとプラモがうまくなったような気がしてよろしい。この時点でキリッと締まりが出て、すこぶるかっこよく見えてくる。工場から出てきた新品の戦車みたいだ。

 明るいベージュにちょっとだけ深みを出して、フラットに見える彫刻を少しだけ目立たせたい。こういう時に楽しいのがフィルタリングだ。全体にめちゃめちゃ薄めたステインブラウンを塗る。最初はどうしても醤油みたいな濃さで試してみたくなるが、ぐっとこらえて「色が付いてるかな〜?」くらいのシャビシャビに割ったのを筆で全体に塗っていく。溜まりができたら慌てず騒がず筆先でつついて伸ばす。陰影が出て、色に深みが増す。これまた楽しい。

 さらに楽しいのが塗装のハゲを表現する段階だ。台所用のスポンジを小さくちぎって、ほとんど黒に近い焦げ茶を吸わせたらそっとパーツのカドに押し付ける。手で描いていたら10年かかりそうな自然なハゲとサビが出現して、思わずにニヤニヤしてしまう。塗装ハゲは楽しい。楽しいのでやりすぎる。100マス戻る。戻らないけど。今回も無事やりすぎてしまったが、激戦の証ということで次に行こう。

 さらに全体の凹凸を強調する。さっきフィルタリングに使った色よりも暗い、グランドブラウンをシャビシャビに薄めて細い筆に含ませる。凹んだところに流し込んだり、出っ張ったところの周囲に置いたり、ギザギザしたところに塗りつけたりしていく。最近では「ピンウォッシュ」なんて呼ばれるが、昔ながらの言葉を使うならスミ入れという工程だ。置いて、乾かして、調子を見てさらに流す。

 濃いスミを流すとコントラストが強くなりすぎてなんだかわざとらしくなるので、薄いのを何度も流すのが勝利の鍵っぽいなと思うようになった。オレンジのウェザリングカラーを局所的に使ったりして、サビとか汚れとか油とかをイメージしながらぐるぐるぐるぐる模型を回して全体に濃い味にしていく。漫画で言う輪郭線みたいなもんで、暗色がいたるところのディテールに入るとバキバキに彫りの深い感じが出るし、なにより使い込まれた雰囲気が簡単に出る。

 最後に明るいところを味付け。タミヤのウェザリングマスターは最高の「明るさ調味料」だ。明るい砂色をメイク用のスポンジに取って出っ張ったところや広い面になすりつけていくと、暗く沈んだところもギュッと浮き出てきてさらに凹凸が強調される。ゴシゴシ、楽しい。

 難しいことはなんもしてないけど、久々に「戦車が塗れたぞ!」という感触を味わった。なにより完成したことにして次に行くこの感覚がすごくいい。プラモを作る一番のモチベーションは、一個前のプラモを完成せること。上に示した道具たちはほかの戦車を作るときにも当然使えるし、下地の色さえ変えればいろんな戦車模型をじぶんなりにメイクアップできる。やってみよう。爆発したり、誰かに怒られたりはしない。プラモにどんどん色がついていく、自分だけの静かな時間を楽しもう。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

関連記事