

模型誌、刊行ペースやジャンルで見ていくと選択肢はそれなりにあるんですが、あくまで取り扱うのは「キット(およびそれが作られた「作例」)」を中心としたものであって、ツールはまだしも、マテリアルにフォーカスした特集というのはまだまだ潤沢と言えない状況にあると思います。
そんななか、『月刊モデルグラフィックス』が4年前の「GSIクレオス特集」に続いてガイアノーツの特集を組んでくれました。「新興塗料メーカーでしょ?」といまだに思っている人も多いかもしれませんが、ガイアノーツ株式会社は創業から今年でじつに16年。いまや塗料だけでなく、模型製作を取り巻くさまざまなツールやマテリアルを幅広くラインナップしている一大勢力となっています。
こういう特集は何を書いても内容の抜粋/要約にしかならない感じがしますが、それにしてもここまで全商品についての開発思想と実際の使用シーン、そして何より実際に使うことで起きるメリットやその際に留意すべきことまでガッチリ網羅しているのには恐れ入ります。さすが紙メディア。単発で「これいいよ」ってオススメもできますが、やっぱり組み合わせや比較、逆引き的な情報のまとめ方をしようとするとこうやって一覧性がないと意味ないよな〜!と改めて模型誌のパワーを感じる一冊になっています。

かくいう私もこうやって毎日毎日nippperを書いたりしていて、だいたいのことは知識として持っているつもりでいても「え、そうだったんだ!」ということが多数。まだ使ったことない塗料、溶剤、その他ツールの数々。で、「なんで使ってないんですか?」って言われても、単に「あることを知らないから」もしくは「べつに今使ってるものでも困ってないし……(と思い込んでるだけ)」だったりします。
ぶっちゃけ、この世のプラモ用マテリアルとかツールって、本当に毎日毎日信じられないくらい増えています。単に増えているだけではなくて、先発のものよりどこかで優れているものがいいと思って開発されています。もちろんすべてがリニアに進化している(絶対的に新しいものがいい)というわけではなく、汎用性と専門性、安全性や扱いやすさなどいろんなパラメーターがあります。
それでもやっぱり「いま、こういう工作/塗装を確実にこなしたい!」というときに、それにフィットしたものを知っている&選べるということと、昔の知識のまま(あるいは向いていないツールやマテリアルを我流でねじ伏せて)漫然と続けているのでは、趣味の楽しさの質が異なります。

思えば昔から引き継がれている模型製作にまつわる知識って、太古の昔のセオリーの孫引きがそのままネットに書かれていることも多くて、「なんでそうするのか」「かわりにできることはないのか」というのが顧みられないまま「とりあえずそういうふうにするのが正しいらしい」と受け入れられているものも少なくありません。
塗料メーカーの中の人がエアブラシをどうやって掃除しているのか。塗料メーカーは塗料と溶剤を何対何で混ぜることを想定して塗料を調合しているのか。どうして他社も出している製品と似た機能のものをわざわざ開発して世に送り出しているのか。こういうことは「意識の高いゴタク」ではなくて、趣味の時間をより着実に安心でスムーズなものに変え、ひいては長く付き合っていくために本当に有用な情報です。
新しい知識を得て、それを使ってみて、自分の楽しい時間をもっとラクに、その余裕でさらに深く楽しむ(ここがめっちゃ大事!)。そのためにこうした特集が組まれることは、決してメーカーの顔色をうかがうものでもなければ、「作例がないから無用」と断じるべきものでもないと思います。

ちなみに今月号は巻頭特集に作例がほとんどないので、後半に掲載されているレギュラーの作例たちがなんだか異様に充実しています。ヒートガンを使いこなす高橋アニキのスーパーデカールワークはこれだけで一本巻頭特集をやってもいいくらいの濃度ですし、その仕上がりも天下一品。



まあ前半ちょっと熱くなってしまいましたが、知識をアップデートしたい人のためにも、模型誌らしい王道のガチッとした作例を見たい人にとっても、今月はかなり見ごたえあると思います。少なくとも私は「今年いちばんオモロかったな」と思ったので筆をとった次第。ということでモデルグラフィックス最新号、読みましょう。
