身近なのに知らないことだらけ!『プラスチック成型の本』を読んでみた。

 「あなたがよく作ってるプラモデルって、どうやって生産されるの?」
 「そりゃあ、金型に樹脂を流して作るのさ。」
 「じゃあ、金型にはどうやって樹脂を流すの?そもそも、その樹脂って何?どんな物質?」
 「ぐぬぬ……」
 「そんなことも知らないんだ……そっか……私たち、これで終わりにしましょう……」


 夢を見た。悪夢だ。いかん、私はプラモデルの成り立ちについて何も知らない……勉強しよう。リメンバー「無知の知」。いつもそんなときには入門書を手に取って、概要から把握することにしています。

 最近読んだ『トコトンやさしいプラスチック成形の本』が、とても読みやすかったのです。中学生あたりで充分に理解できる内容で、「何が分らないかを分かる」ための、概要を掴むには良い本だと思いました。「入門書の入門書」のような感じです。

▲丁寧な解説すぎて、なんと原子と分子、化学式の説明から入ります。

 例えばガンプラの関節でよく使われるポリエチレン(PE)は、炭素原子2つと水素原子4つから成るC2H4の、エチレン分子がたくさんつながって、高分子となったものです。他にもプラモデルで一番よくつかわれるポリスチレン(PS)の構造や、その特徴についてもわかりやすく書かれています。

▲射出成型機の仕組み!これが知りたかったのよ!

 プラモデルを成形するには、まず粒状のプラスチックペレット(粒状なことにもきちんと意味がある)を熱で溶かしながら、逆流しないように、物凄~い圧力で金型に流し込み、物凄~い圧力で金型を押さえつける仕組みが必要です。これが射出成型機です。どうやったらこんなことが可能になるのか、仕組みが図と文章で分かりやすく解説されています。ちっこいプラモデルを作るのに、とても大きな装置が必要だということがよくわかります。

▲多材質射出成型など、様々な成形方法があるのです。

 他にも塩ビパイプなどを作る押し出し成形、ペットボトルなどを作るブロー成形など、様々な成形が紹介されており勉強になります。しかも、プラスチックは熱によって膨張、収縮する素材なので、それを計算して金型を製作する必要があるというのです。私の仕事柄、塩ビパイプをよく使うのですが、0.5mmでも径が違ったら使い物になりませんからね。プラモデルのダボなんて、きっとそれ以上の精度で作らなければいけないんでしょう。素人では絶対に作れないプラスチック製品。普段、安く買ってるプラモデルがさらに安く感じるなぁ。

▲車のインパネもプラスチック成形技術の賜物。

 テレビなどの家電、シャンプーや弁当などの容器、プラモデルなど……あまりにも生活に馴染みすぎていてありがたみを感じていませんが、さまざまな製造メーカーの蓄積された知識と技術によって出来たものなのですね。

 入門書の良いところは、「まず最初にこの知識が必要だろうな」と専門家が思った項目が載っていることです。当たり前のようですが、これが非常に重要です。ネットで検索して調べられるのは、「専門家ではない自分が、必要だと思った事柄」だけなのです。それに加えて、たとえ本の内容全部がネットで検索すればわかることであったとしても、いちいち適切なサイトを探してあちこち閲覧するより、体系的に編集された本で読んだ方が確実に身になるし早いです。

 ちなみにプラモデルに関しての話はもちろん出てきますが、そんなに多くは触れられていません。それだけプラスチック成形の世界は広く、プラモデルはその中のほんの一部ということでしょう。プラスチックを俯瞰して見ることで、逆説的に、よりプラスチックとの距離が縮まる。そんな入門書でした。

ハイパーアジア
ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。