コレ一滴で絶対に筆塗りが得意技になる。いまこそ「リターダー」に注目だ!

 突然暴力的な使用感を醸し出す写真が出てきましたが、これは私が筆塗りにビビらなくなったどころか「エアブラシ出してるヒマがあったらここは筆塗りでいいわ……」という考え方でプラモにガンガンアタックできるようになったお助けグッズです。無印良品の「小分けボトル ワンタッチキャップ」に入ったリターダーです。

 プラモに興味を持ち始めたころに技法書とか模型ハウトゥサイトを読むと必ず出現する謎の液体、それがリターダーです。読むと「塗料に混ぜたら乾燥が遅くなる」と書いてあります。なんだそれ。さっさと乾燥したほうがいいじゃないか。「乾燥が遅くなると筆塗りでも平滑な塗装面になります」とか書いてあることもある。いやそんなんスプレー使ったほうが絶対きれいじゃないか。

 「だから筆はダメなんだ、結局塗料に妙な添加剤を入れないとキレイに塗れないし、結局入れたところで何がどう作用してどういう効果があるのか実感しにくいし、結局スプレーみたいにつるんつるんの塗膜を作ることはできないし、リターダーなんてまやかしだ……」と子供の私は思ったのでした。

 まあ実際、広い面積をテクニックに関係なくキレイに塗ろうと思ったら缶スプレーやエアブラシのほうがきれいなのは間違いないんですけど、部分塗装とか入り組んだところとかマスキングがめんどくさくて死にそうなときって筆で塗ったほうが作業が確実に前に進むんですよね。だから筆とは仲良くしたい。筆塗り苦手だけど筆と仲良くしなきゃいけない……このアンビバレンツな気持ちをつないでくれるのがリターダーなのです。マジで。

 筆塗りが難しいのって、塗料が塗っている端からどんどん乾いていくからなんですよね。パーツに乗った塗料がガンガン乾いていくならいいけど、筆に含まれた塗料もみるみるうちに粘度を増して、数分後にはカピカピになっていきます。こうなると最初は気持ちよく塗れていても、ああ筆運びが悪い、ああ塗料の含みがさっきと違う、ああパーツの表面がちょっとベトベトしてめくれてしまった……みたいになります。

 じゃあ塗料に溶剤を混ぜてシャバシャバにすれば……と考えるのですが、今度は薄まりすぎてムラができるし塗った塗料が溶けてくるし、そもそも塗料と同じ種類の溶剤だから結局乾燥するスピードは同じやんけ……ということに気づきます。

 そこで塗る前に「リターダーを塗料皿に1適だけ足す」もしくは「リターダーを筆にほんの少し含ませる」というのを試してみてください。ちなみにラッカー系塗料、アクリル系ともに専用のリターダーがありますが、とくに威力を発揮するのは乾燥が比較的早いラッカー系塗料を筆塗りするときです。

 リターダーをほんの少し混ぜると塗料の乾きがゆっくりになり、「同じ感覚で塗っていられる時間」が驚異的に伸びます。常に筆のコンディションや塗料の粘度が変化するのに対応するには相応の経験値が必要ですが、リターダーを入れると筆や塗料がいきなり言うことを聞いてくれるようになります。

▲今日はラスキウスアウラの新色、「白雪色」を塗りたくなったので塗ります。
▲発色が良すぎてビビる。これはマジでオススメのクールな白!リターダーをチョイ混ぜして1度塗りでこの白さ。

 リターダーをほんの少しだけ含ませた筆はみるみる固くなることもないし、乾きかけの塗料が引っかかることもありません。マジのマジでほんの少しだけ塗料にリターダーが混ざっていればOKなので、混ぜすぎると逆効果。強力な成分によって下の塗装までベローンと剥がれてしまいます。どれくらい混ぜると調子良く塗れるのかは言葉で言い表すのが極めて難しいのですが、「信じられないくらいちょっと」で大丈夫です。

 プラモを作っていると必ず遭遇する小さな面積のところ、入り組んだところの部分塗装。マスキングしてスプレー用意して……とやるより「サッといい筆を出してスパッと塗る」が身につくと、やる気スイッチが入りやすくなります。もちろん広い面積を筆のタッチを活かしながら点描のように塗り広げていくという玄人っぽい塗りかたのときにもリターダーは最高の相棒になります。

 一度買ったら永遠になくならないほど少しずつしか使わないものですから、「リターダー、いまいち使い所がわからないんだよなぁ……」と買いあぐねていた人こそ手に入れてみてください。そしてちょっとしたプラモの部分塗装のお供に使ってみましょう。ちょっとだけプラモ経験がある人、筆塗りに苦手意識を持っていた人ほど「え、ちょっとした面積なら筆塗りってこんなに楽にできたの!?」ってビックリするはずです。なにせ、私がそうだったもんで……。

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からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。