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2機の蒼いロボット/「人生の御褒美」を作って、あの日夢見た以上の光景を見よう。

 いつか完成させたいプラモデルは「人生の宿題」。では、思いがけず突然発売になった、大好きなメカのプラモデルは何だろう?

 私が思うに、それは「人生の御褒美」だ。

 最近、御褒美づいてる。かつて欲しいと思ってもかなわなかったメカのプラモデルが、次から次へと発売されているのだ。なにしろ、「30年も前のアニメにもなっていないスピンオフ小説に登場するロボットのプラモデル」がシリーズで発売されたりする。

 ちょっと信じられないが、現実に発売になった。それがこれだ。

 「青の騎士ベルゼルガ物語」は、人気のロボットアニメ「装甲騎兵ボトムズ」の数あるスピンオフストーリーの一つである。

 展開されたメディアは小説で、コミカライズもアニメ化もされていない。ただ、根強い人気はあって、小説は近年復刊し、今でも読むことができる。雑誌連載版を含めた設定資料集と模型作例のムックは、電子書籍で入手可能だ。根強い人気がある作品とはいえ、作中登場機体の12機がプラモになるなんて、いくら何でもやりすぎだろう。……ありがとうございます!

 このアイテムの嬉しいのは主人公機の4機が同スケールで並べられること。ブルーナイトの機体は過去に何度か立体化されているが、同スケールで揃ったことはなかったと記憶している。

 今回は私が一番好きな機体、ゼルベリオスを組んでみた。

 このキットは1/48スケール。ボトムズのプラモデルのスケールは1/24と1/35がスタンダードなので、このキットは若干小さめのサイズである。それでもイメージ通りの素晴らしい形状が組み上がる。一部塗装済みなので、組んだだけでもこの仕上がりが楽しめるのだ。

 ゼルベリオスの立体物はガレージキットが中心だった。当時手を出すことをためらったファンも多いだろう。そんなファンでも、あの日諦めていたゼルベリオスの形をあっさりと手の中に納めることができる。

 さて、同じ1/48スケールで、同じく私が大好きな青いロボットのプラモデルがある。それがバンダイ R3シリーズ「レイズナー」だ。

 TVアニメ『蒼き流星SPTレイズナー』の主人公機である。これもまた30年以上前のアニメだ。キットは、購入してから8年ほど放置していたが、この機会に完成させようと思い立ち、一気に組み立てた。買った当初はパーツの多さに尻込みし、組み立てるのを諦めてしまっていた。

 しかし、この8年の経験の積み重ねが作業を容易にしてくれた。おかげで今回は気後れすることもなく、すんなりと組み上げることができた。

 そして大好きな二機を並べてみる。時を経て、1/48の同スケールで並び立つ二機の青い機体。30年前のあの頃には想像すらしていなかった、至福の光景が現れた。

 ふたつのメカのサイズの違いに改めて驚かされる。レイズナーはガンダムなどと比べるとコンパクトな機体だが、アーマードトルーパー(ボトムズのロボットの総称。以下AT)と比べるとこんなにも大きい。SPTは航空機、ATはジープをモチーフにデザインされていることが、サイズ差の理由の一つなのだろう。

 ATをコンパクトだと言ったが、人と比べるとやはり巨大だ。人の模型を並べることで、架空の兵器のサイズを我がことのように実感できる。これは一種のバーチャルな体験だと思う。

 2020年の現在、架空兵器の大きさを実感する機会は増えてきている。お台場にユニコーンガンダム、稲城にスコープドッグの立像が建ち、横浜では実物大のRX-78が動き出す時代である。しかし、あらゆる架空メカが実物大の立像になるわけではない。

 ゼルベリオスとレイズナーの共演なんて、プラモデルでなければ見られない光景だ。そして、この光景は今になって実現した奇跡である。ゼルベリオスとレイズナーが同スケールで出るなんて、30年前には想像することさえなかった。さらに言えばこの光景は、キットを積んだままでは見られない。

 だから、「人生の御褒美」キットは軽率に組んでしまうのがいい。秒で組んで、大好きな形を堪能してしまおう。そして、見たことのない景色を見よう。その上で、さらに手を加えたい、納得のいく作品に仕上げたい、と思うなら、そのまま「人生の宿題」にしてしまえばいい。なんならもう一個買ってきて、積んでしまってもいいのだ。

 冒頭に書いたとおり、私にとって、今は御褒美ラッシュだ。だから、2020年は散財の年と決めた。そして組みまくろう。待ちに待った御褒美が差し出されたのなら、それを味わい尽くすのがいちばんなのだから。

トミすけ
トミすけ

アラフィフ紳士。本業は会社員の週末モデラー。キャラクターモデルを中心に、気に入ったプラモデルを買ってきてはマイペースで作っています。早く作れるようになりたくて、日々精進中。

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