今年の夏休み、工作が好きなすべての子供たちと子供の心を忘れない大人たちにオススメするプラモデルがあります。
まなべる・つくる・装着する・水圧式の「サイボーグハンド」(対象年齢10歳以上)とのこと。果たして、多くの子供たちが夢見る「強力で異形な機械仕掛けの腕」を装着するという願いを叶えてくれるのでしょうか。
びっしりと詰め込まれた樹脂、樹脂、バネ、ホース、樹脂……どうやったら3000円台でこの量の樹脂を販売できるのか心配になるレベルです。くらくらする。幻かもしれない。
爽やかな円筒状に抜かれた水色のクリアパーツはまるで夏のプールの様。このシリンダー同士をホースでつなぎ、水を入れ、片方のピストンで水を押し出すことで、もう片方のピストンに力を伝えることが出来ます。そう、「パスカルの原理」そのものに遊びながら触れることが出来るのです!
「実家に帰ると大量に出てくるお袋の料理」と同じくらいの樹脂を摂取することが出来ます。とはいってもひとつひとつのパーツが大きく「美味しい」ので組んでいてストレスは感じません。
裏からしっかり補強板がこしらえてあるのがわかります。軽量化と強度を両立させるためにこうなっているんだ、という所にお子さんが気付けたら大したものです。褒めてあげましょう。難しいことわかっちゃうのね、アーシュラ!
「重機動メカのザンザルブみたいだな」という感想をもらす私のような大人は子供に修正されてください。
これにパーツを徐々に取り付けていくことでサイボーグハンドが完成していく快感。是非味わってほしいのです……
お子さんに作らせるなら、これが読めて理解できるようになってから一人で作らせてあげるのがよいかと思います。「説明書には大事な事が書いてある」という気づきも得られること請け合い。
この2つの同じ行為に違う意味が隠されている点(機能と意匠の関係性)も「デザインとは何か」を語り掛けてくるようです。
モノづくりにおいて、意匠と頑丈さを両立させた「端部の処理」がきわめて大事だということが感覚でわかってきます。すごい。
しかしこれがよく出来ていて、簡単にシリンダーとピストンをオイルを塗りながら組み上げていけます。組んでからのお楽しみです。
片方のシリンダーを押したり引っ張ることで、片方のシリンダーが連動してうごきます。これが「腱」の役割を果たします。人体でも前腕の筋肉が腱を押し出したり、引っ張ることで指が動くということを理解できるのです。学びが多すぎる。
まるで「カッコイイ」という言葉をそのものを体現したようだ!パーツのひとつひとつが大きいので、無くすリスクも少ないですし、結構サクサク組みあがりました。(イデオンを見ながら2時間ぐらい)
カタログスペックでは600gまで保持可能とのことですが、それ以上重たいものを持つと関節がクラッシュしたり、シリンダーが外れて水が噴き出すなどのトラブルが発生すると思われます。しかし、それもまたSFチックでかっこよくないでしょうか!?
動画ではサイボーグハンドを使って遊ぶところにフォーカスされていますが、私は組み立てる工程にこそサイボーグハンドの本当の価値があるのではないかと思います。
組み立てる途中のワクワク感もバツグンですが、モノづくりとはどのようなものなのか、動くモノを作るにはどのような部品を使ってどのように仕上げるのか……大人も子供も関係なく、様々な驚きと発見があるはずです。今回、拾いきれなかった面白いポイントもまだ沢山ありますし、人それぞれ違った発見があるでしょう。これは驚くべきポテンシャルを秘めた商品です。
しかし、ここまで色々と考えさせられるのも実はこの強力なデザイン、ビジュアルあっての話です。「カッコいいものを作りたい、手に入れたい」という「夢」がすべての根本にあることに気付くハズです。
大人も子供もまさに「夢中」になれるサイボーグハンド、夏休みを夏休みらしくする今夏イチオシのホビーです!こんな時期だからこそ、部屋の中でもアクティブに遊べる、とっても魅力的な選択肢だと思うのです。
みなさんも、この夏の夢中なアクティビティを、ぜひ!
1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。