
美しい曲線と直線が融合した黒のボディにシックなベージュのピンストライプ。艶やかに映り込む光。つくづく美しい模型だなと思う。一方、後ろから見てみると、直線的なフレームで構成された複雑な足回りが顔を出す。シンプルなカウルの内側に収められた、しっかりと造形された精密感あふれるパーツたち。

地を這うような低重心なボディ。角度を変えるごとに様々に変わる表情。気が付けばずっと手に持って眺めていました。

タミヤの1/20 グランプリコレクション No.60 ロータス タイプ79 1978。そのボディデザインの美しさとカラーリングから「ブラックビューティー」とも呼ばれる1970年代のF1を代表する一台……のプラモデル。1977年に設計されたエンジンを流用しながらそれ以外の部分を新規に開発し、2010年に販売されたキットです。いろんな意味で歴史の積み重なったキットではありますが、部品を切り出して塗装せずに組み立てるだけでもこんな仕上がりを見せてくれるので正直驚きました。


成形色はエンジン本体部分とメッキされたホイール以外は全て黒。確かに成形色は黒一色ですが、質感の違いが表現されていて、たとえばカウル部分の表面はなめらかで程よい艶が出ていたりするけど、シートなんかは艶消し系の質感になっています。なんだか、この質感を味わわないのは少しもったいない気がしたので今回は塗装無しで組んでみたわけです。なんてったって……この車、ほとんど黒だし!

F1マシンの模型をを製作するときの楽しみといえばやっぱり複雑な足回りとエンジン部分の組み立て。一見どうなってるかわからない足回りの複雑な構造も、エンジンから伸びているなんだかよくわからない配線も、複雑に絡み合ったエキゾーストパイプも、落ち着いて順番に組み立てていくと意外と簡単に組み上がってきます。

パーツを切り出して、接着剤を塗って、しっかり説明書を確認しながら組み付けていく。その繰り返しでテンポよく組み上がっていくパーツたち。どんどん形になっていくこの楽しさは塗装せずに組み立てるからこそ味わえる部分だと思います。

正直、手軽に組み立てられるキットか?と聞かれたら、決してそうではないと答えます。細かいパーツも多いし、接着にしたってコツがいる箇所も結構あります。デカールもこの特徴的なピンストライプがちょっと(……ちょっとなのか?)大変。でも、絶対に「無理」じゃない。デカールが破れてしまっても、落ち着いて位置を合わせていけばなんとかなる。組みごたえと達成感も抜群。そしてなにより、塗装無しでこんなに素敵な模型に仕上がるこのキット。正直期待以上でした。
気が向けば、さらなる艶を求めてカウルにクリア塗装をするも良し、もうひとつ気が向けば塗装にチャレンジするもよし。タミヤから別売りのエッチングパーツも発売されているのでそれを組み込むのも良し。いろんな楽しみ方ができるキットですが、とりあえずひとこと。
この模型、ため息が出るほど美しいです。