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【レビュー】「満たしてくれるタイプ」のプラモデルがおもしろい!/PLAMAX キングゲイナー


 富野監督作品のロボットデザインは常に斬新なのだけれど、キングゲイナーはその中でもとくに新しさを感じた。ぬいぐるみっぽささえ感じる弾力感のある外装、生物的な部分もありながら、あくまでもドライに道具としての無機質さに振った演出。個人的にはステラ社が開発中の全身タイツを着せたみたいな人型ロボットの延長線上にいそうとか思っている……。時代が進むことでむしろリアリティを感じる足がかりが出てきた。そういう意味でキングゲイナーをロボットプラモデルの文脈で味わうには今が旬といえるかもしれない。

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 潜水服のような顔面は塗装済みのクリヤーパーツ。そのクリヤーパーツの下にはツルンとしたボディと同じ薄いグレーの裏打ちが用意されている。クリヤーブルーの発色を助け、透明層に視覚的な深みを与えることで、特徴的な顔面の未知の質感を演出している。奥にモールドがあるわけでもなく、発光しているわけでもなく水底が見えない湖面のような独特な奥行きを見せてくれる、まさに「本キットの顔」なのだ。

 顔面とセットでトレードマークといえる謎のドレッドヘア。1本あたり2パーツの基部に球状関節が仕込まれる構成。左右対称かつ似ているけれど違う形の部品の束になってしまうのだけれど、裏側にL/Rと番号の刻印があるので先に全部切り出してしまってからでも組み立てに支障がない。合計6本のドレッドヘアがサクサクそろってすぐに頭ができる。

 キングゲイナーっておっぱいついてたっけ?と思っていたパーツは胸の谷間じゃなくてオシリでした。どちらにしてもセクシーだな。この部品だけランナーについてない状態で入ってるので、なんだかドキっとしてしまったよ。

 人体的な骨格や筋肉を感じさせるトルソー。肩甲骨を意識した重なりの肩関節とか、ヘルメットの下に潜り込んでいくうなじとか、背中のくぼみ方とか、オシリとか…この状態で眺められるのが至福というくらいセクシーな造形。股関節から脚にかけての生やし方とかもう天才だな。各部形状は個々に人体っぽくある中で、いったん横にはみ出して大腿とオシリが完全にちぎれてて、機械としてのロボフレームっぽさみたいな雰囲気が同居してる。


  そうやってできたトルソーに服を着せるみたいに外装を被せる。あばらの赤が隠しきれずチラりと見えるとことか、凹んだみぞおちの中心にあるおへそとか、追い打ちをかけるようにチラリズムを加速するために存在するとしか思えない、股間をさえぎるようにまとわせる帯状のパーツとか構成要素のことごとくが面白い。

  腕部の袖口周りはこのキットの可動ギミックの真骨頂。ギザギザ模様の再現のためにギザギザに分割されているのだけど、それを生かして袖口から手首にかけての関節が仕込まれている。ギザギザ模様の袖口の奥から手首を可動させるためのボールジョイントを隠しつつ、袖口にピタリと閉じて追従するカバーが実装されて、どう動かしてもシルエットが崩れない。

 PVC製の大ぶりな手首部品と相まって動かすのが楽しい。良く動くなんて可動モデルの常套句だけれど、ここまで「手首が良く動く」というのはちょっとなかったね。袖口が手首に追従しすることで思いのほかポージングの幅が広がる…というかポーズの決まり具合が全然違う。


 チェインガン持ち用の手首を使った時なんかが顕著だけれどガンプラをはじめとした「四角くて硬質なロボット」と違ってグリップと手の甲が平行に並ぶような持ち方をしない。手の甲がグリップ正面に向かって回り込み、指で握り込むにあたって袖口の可動が効いてくる。銃を握るロボットの構造として斬新なギミックだ。


 組みあがりは20センチオーバー。500mlペットボトルくらいあってあってなかなかボリューミー。横に並べてみた感触だと1/35のフィギュアがコックピットに収まるに具合良さげなのでイメージスケールでそのくらいを想定できる。

 独特のバランスの四肢とドレッドヘアのおかげで単純な可動範囲によるもの以上に表情がつく。動かす中でのパーツの脱落もほとんどなく扱いやすい。

 でも、一番うれしかったのはこのサイズでもプラモデル故に軽いので飛行ポーズをとらせるのが容易だったこと。キングゲイナーいつも飛んでるしね。今のロボットプラモデルではほとんど標準仕様といえるスタンド用の3ミリ軸受が実装されているので、市販の各種スタンドに対応する。個人的にはこれが大きくて永久にいじっていられる…スタチューや完成トイではこうはならない。

 デザインを解体して味わうのも、動かして遊ぶのも、軽くて飛ばして飾れるのも、ここまでできるのはプラモだからだね。「プラモデルで欲しいんだ」ってのはつまりはこういうこと。全部答えてくれるからね。
プラモデル、する?

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HIROFUMIXのプロフィール

HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。

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