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プラモが繋ぐ高校生の学園生活。校内施設で育まれた「プラモと人の幸せな関係」/新渡戸文化学園 VIVISTOP

ハセガワ(Hasegawa)
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 「僕らの世代はプラモデルを作っている人が少ないです。でもそれがまた、ちょっと特別な趣味という感じがしてさらに楽しいんです。」

 高校生3人が各々作った素敵なプラモを前に、僕にそんなことを話してくれました。

 友人から「高校生たちが飛行機や戦車のプラモを楽しんでいるから見にこない?」と誘われ、東京の新渡戸文化学園にお邪魔してきました。この学園には生徒たちが毎日使えるクリエイティビティ施設「VIVISTOP」という場所があります(学園内の全生徒、会員になれば近所の方も使用可能)。3Dプリンターやカッティングマシーンなどがあり、学生の創造性をバッチリと後押ししているんですね。そんな素敵な学校内のスペースで、高校生3人がプラモを楽しんでいるというのです……。

 訪れてまず衝撃を受けたのが、彼らがプラモを楽しんでいるコーナーの姿。プラモのセレクトがマジで痺れます。キャラクタープラモがほぼ無い……。しかもスケールモデルもレジェンドプラモからちょっと新しいものって感じでトレンドに左右されていない本気っぷり。この光景を見ただけでフミテシの好奇心は最高潮になったのです。

 ここでプラモを楽しんでいるのが左から、松浦さん(高1)、森脇さん(高2)、辻さん(高2)の3人。彼らにプラモとの出会いを聞いてみると……

 松浦さんーー「ちょうどコロナ禍の時に、お父さんが「プラモとか作ると手先も器用になるから」という理由で、葛城という艦船模型と工具一式を買ってきてくれたのです。当時プラモの知識は全くなかった中で、「めちゃくちゃ細かいぞ〜〜」と思いながら組み立てました。この、“なんとか全パーツ組み立てた時の感動”が、今の僕のプラモライフの原点です。アニメからではなくプラモからプラモの世界に入ったので、自ずとスケールモデルに興味が湧いて、飛行機や戦車、鉄道模型なども楽しんでいます。」

 森脇さんーー「僕は母が美術関係のお仕事をやっているので、小さい頃から家庭内でモノづくりを楽しんでいました。タミヤのウォーバードコレクションの「1/72 AH-64 アパッチ」が初めて買ってもらったプラモです。また近所にもたまたまプラモを楽しんでいる友人がいたのもラッキーでした。彼とは今は学校が違いますが、プラモを通して今でも仲良く遊んでいます。」

 辻さんーー「僕はプラモの他に木工とかも好きでした。中学の時に一旦離れたのですが、高校生になった時に森脇がVIVISTOP内でプラモを作っているのを見たんです。その姿がとても面白そうだったので、お家に残っていたプラモを取り出して試しに作ってみたんですね。そうしたらやっぱり面白くて……またプラモを再開するとともに、森脇というプラモ仲間ができました。」

 松浦さんーー「僕が中学3年生の授業でVIVISTOPに来た時に、森脇さんが授業中にプラモを作っていたんです。え? 授業中だよ?? しかもプラモ?? プラモ好きな先輩がここにいるんだ〜と知って自然と声をかけたのが、僕と森脇さんの出会いです。」

 森脇ーー「授業中にプラモを組んでいるというのは、僕たちの学校では自分の好きなことひとつを決めて“探求する”という時間が与えられています。僕はその探求テーマに、大好きなプラモデルを選択したのです。決してサボってたわけじゃないんですよ。」

 辻さんーー「そこから松浦、森脇と共に僕たち3人でプラモデラーの集い「PLAツド」というチームを作って活動を始めました。VIVISTOPという場所を中心にプラモを作ったり、プラモの楽しさを共有したりしています」

 松浦さんーー「最近はインスタのアカウント(@pura.tsudo)を作ったり、ポッドキャストでプラモのことを楽しく語り合ったりした内容を発信しています。」

 プラモデルを探求することを学園生活のテーマの一つとして掲げている彼らは、なんとプラモで旅もしてきたのです。この学園では探求テーマをさらに掘り下げるために「スタディツアー」というものも実施。彼らは自分たちで3泊4日のツアープランを考案。ツアーの地に広島県を選び、現地の学生と平和学習をして様々な意見を交換。その後呉で「大和ミュージアム」や「海上自衛隊呉資料館(てつのくじら館)」、港に停泊している護衛艦の姿を見て、自分たちが作っているプラモデルと繋がっている歴史や実物に関して様々な思いを巡らせたそうだ。

 森脇さんーー「平和というテーマは大きすぎますが、まずは身近な平和ってなんだろうっていう感じから話を進めていきました。スマホをいじってられるとか、お昼寝できるか。プラモが楽しめるのも平和だからですよね」

 プラモデルは作るだけでなく「買う」こともエンタメ。家電量販店も行くけれど、秋葉原のレオナルドのような中古ショップ巡りも大好き! 高校生ならではのお財布事情にも優しいとのことだ。そこで、面白そうなプラモを見つけて箱を開ける……パーツを見ながらみんなでワイワイ楽しむのが最高なんだとか。俺たち大人とハートが一緒。最高です。しかもバンダイのマスタングは銀のスプレーまで吹いてあります! かっこいいですね〜〜。

 森脇さんーー「プラモが好きになってから、街の景色も本当に楽しくなって。特に「サビ」とか「汚れ」ですね。そして何より趣味を通じて友人ができた。仲間たちとたくさんコミュニケーションを取ることで、人と話をする楽しさも知ることができました。プラモデルが僕にとって人とのコミュニケーションツールになったんです」

 松浦さんーー「父の思惑通り、手先は間違いなく器用になりました。でもやっぱりこうして仲間ができたってのが一番ですね。1人で作るより何倍も楽しいです。」

 辻さんーー「自分ってこんな形やこんな色が好きなんだな〜ってプラモデルが再発見させてくれました。自分にとっての「好きな物の感覚」というものがどんどん芽生えてくれるので、すごく楽しいです。」

 SNSで流れてくるようなかっこいいプラモを作りたいと思うけど、とにかく楽しみたい! 失敗もするけれど、チャレンジして成功した時の気分は最高で「上手くなったな〜」と勝手に自己肯定感が上がるのが最高! そしてそれを仲間と楽しめている幸せ……彼らはプラモを通して「仲間とのコミュニケーション」を大事にしているんだとすごく伝わってきました。

 VIVISTOPという場所が「仲間とプラモ」を繋げています。様々な模型や工具があちらこちらに置かれているリアルな光景は、彼らが思いっきりプラモに情熱を捧げている証拠。そしてプラモの話になると3人とも本当に笑顔で、最高にかっこいいのです。プラモを探求する彼らを「場」がサポートし、人と人とを繋げるという幸せな現象を僕に見せてくれました。プラモがそんな素敵な光景を繋いでくれたことに僕も勇気が湧き、彼らと同じくらいプラモを楽しんでいこうと強く思ったのでした。おしまい。

著:新渡戸 稲造, 著:矢内原 忠雄
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フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。

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