

雑誌「ブルータス」の1000号記念「人生最高のお買い物」を読みました。本の内容はまさにタイトル通り。ブルータスゆかりの人々の買い物を通して人生観や価値観、体験などが大ボリュームで収録されています。物から人が見えるって記事が、僕は大好き。だから自分の人生にとって最高の買い物ってなんだったかな〜って思いを巡らしてみると、やっぱりこれだったのです。「タミヤ 薄刃ニッパー」です。

僕が模型雑誌ホビージャパンに入社したばかりに、メーカーのテストショット(メーカーから商品紹介のために先行して送られてくるサンプル。プラの色が商品版と異なっていたり、関節の嵌合がまだ調整前だったりする)を組んでいた時に猛烈に怒られました。「そんなボロボロの切れないニッパーで切ったプラモを読者に見せるのか!? 編集者として失格だろ」と。そう、僕はそれまでニッパーという物にまったくこだわりが無かったのです。ニッパーでパーツを切ったらデザインナイフで整えて、ヤスリをかけちゃえば綺麗になるしと思っていたので。しかし、テストショットの紹介でヤスリをかけるなんてことは普通ないし、デザインナイフで抉ったりしたら見映えも損なう……そのためには良く切れるニッパーが必要だったのです。「読者に綺麗なものを見せる」という基本を、このニッパーを通してめちゃくちゃ教わりました。

戦車、飛行機、自動車、バイク、船、ガンプラ……どんなプラモのパーツもこのニッパーがあれば仲良くなれる。机の上にいながら世界中のモチーフ、空想の世界のモチーフと遊べるのです。良く切れる、細かなパーツにもリーチできる……その性能が僕のプラモ趣味のフィールドを広げてくれたし、さらにはプラモを通した世界旅行にまで連れて行ってくれました。タミヤの薄刃ニッパーが、僕の人生を切り開いてくれたのです。

毎回nippperで紹介するプラモも、このニッパーがいるからこそしっかりと作れています。年間で150個はプラモを組んでいるのですが、その数を作ってもまだまだ元気。よく切れるマッチョなのです。プラモの世界では超定番になったタミヤの薄刃ニッパーですが、これから出会う人もまだまだいることでしょう。だから何度でも紹介したい! 何度でも様々な記事の写真で見切れさせて「あのニッパー良さそう」って思ってもらいたいのです。人生を切り開いてくれた素敵なニッパーのお話でした。おしまい。