2色を足せば一気にリアル!/小さくてもカッコいいバイクのプラモを楽しもう。

 小さいけれど、ちゃんとバイク!それがタミヤのミリタリーミニチュアシリーズでたくさんラインナップされている1/35のオートバイたちです。これはアメリカのミリタリーポリス(憲兵)が乗っていたハーレーダビッドソンで、1976年の発売から何度も再販されているもの。組み立てにピンセットが必携のこまかいパーツ分けですが、安くて小さくてしっかり完結しているプラモなので、本当にハイコストパフォーマンスなキットです。

 よく切れる先の鋭いニッパーとナイフを用意して、慎重にパーツを切り出していきましょう。いまは速乾性のプラモ用流し込み接着剤があるので、所定の位置にパーツを置いたらごく少量の接着剤をチョンと合わせ目に置くだけでグイグイ組み立てが進みます。乾燥待ちがほとんどないから、スキマ時間でも遊べるんです。

 さて、オリーブドラブ一色のバイクをキリッと引き締めてくれる2つのカラーを部分的に塗ってみましょう。エナメル系塗料のフラットブラック(つや消し黒)を持っていると、タイヤやハンドル、シートなんかを塗ることができます。一色の塊だったものが、「自分で塗ったらちょっとだけ現実世界に近づいてきた!」と思える見た目に変化します。

 今度はエンジンです。こちらもエナメル系塗料のシルバーをひとつ持っていると、金属でできたものを表現することができます。今回はエンジンを少しだけ重そうに見せるため、クロームシルバーに黒を少量混ぜたものを塗りました。プラスチックが突然まったく違う素材に見える瞬間は、なんど体験しても楽しいものです。
 そうそう、筆はうんと良いものを用意してください。これが「上手く塗るコツ」の最たるものです。私がいつも使っているのはタミヤのモデリングブラシPRO II(小)です。塗料の含みがよく、穂先のまとまりも抜群なので、これさえあればある程度面積のある場所も、かなり細かいところもビシッと塗り分けられます。

 説明書を見ながら、黒と銀で塗るといい感じになりそうなところをピックアップして、慎重に塗っていきます。いろいろな塗料があるなかで、なぜエナメル系の塗料がオススメなのか。これは「よく発色する(=何度も塗り重ねなくてよい)」「伸びが良い(=筆で塗っても平滑な面になってくれる)」「ミスったときに拭き取りやすい(専用のエナメル系溶剤を買っておくと良いでしょう)」の三拍子が揃っているから。
 「プラモを塗る」というとどうしても大掛かりな様子をイメージしてしまうかもしれませんが、こんなふうに小さなプラモのごく一部に、黒やシルバーといった目立つ色をちょっとずつ足すだけでも、それまで縁遠かった「色を塗ることの楽しさ」が味わえるはずです。

 完成したバイクには、キットに入っている兵隊さんを乗せましょう。横には交通整理をしている憲兵も立っています。ポーズがついているから、机の上に置くだけでストーリーが生まれます。すこし懐かしい雰囲気の彫刻ですが、「バイクと人間がギュッと小さくなって目の前にいる」という状況が、なんだかすごく愛おしくなってきます。「組んで、塗って、眺める」というプラモの小さな第一歩が、いつしか振り返ったときに大きな一歩になっているはずです。さて、みなさんはどのバイクから始めますか?

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>
からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。