笑うプラモデルとの予期せぬ出会い。WAVE マシーネンクリーガー「RACCOON」

▲装甲のスキマから顔を覗かせる女性のパッケージ。そして横の男は何者……

 プラモデルを作っていて、一番うれしくなる瞬間。それは「予期せぬ出会い」があった時。マシーネンクリーガーのラクーンは、私にとってまさにそんな出会いのプラモデルでした。

 影のあるミステリアスなヒロインにめっぽう弱い筆者。ラクーンのプラモデルを手に取った理由というのも、このパッケージの女性と目が合ってしまったから。こちらを見ているようで、全くこちらに興味のないような、ドキッとする彼女の眼差しにやられたのです。しかしこれは恋ではないし、ただのプラモなのですが、「彼女に会ってみたい!」という衝動はどうやら本物のようです。いざ開封。

▲いました、ミステリアス・ガール……ともう一人。アンタ、あの娘の何なのさ!?

 思ったよりもかなり仏頂面の彼女。冷徹っぽい良い面構えだ。叱ってくれ……。しかしもう一人、同梱されているこの男は誰なの。無機質に遠くを見つめてほくそ笑んでいるこの男は……。
 実は本キット、マシーネンクリーガーの「S.A.F.S.(Super Armored Fighting Suit)」というキットに女性フェイスなどの追加パーツをつけて「S.A.F.S. type R (ラクーン 偵察型仕様)」としたもの。男性フェイスの方は、無印のS.A.F.S.由来のものだったのです。
 しかし男の表情もなかなかいいですね。笑顔というのはどうしても魅力的。幸せそうにも見えるし、皮肉っぽくも見えるし、狂気を孕んでいるようにも見える不思議な表情ですから。それが装甲のスキマから顔を覗かせるだけで物語になりそうね。どちらにしよう。選べる幸せ……!

 さてさて、箱を空けてもうひとつ驚いたのが、パーツのほとんどがとてもGOODな銀一色だったこと。これがツヤのある上品な銀で、いい色味なんですよ。タミヤスプレーで言うと、シルバーリーフの色に近いかも。

 そして卵のような曲面のボディには、ランダムに入ったウェルドライン(樹脂を金型に流し込んだ時に出来た模様)が、これまたタトゥーのようでとても美しいのです。個体によって、この模様も違うんでしょうね。これもまた一つの出会いと言えるかもしれません。

▲こちらが完成した姿。

 人体のリズムを崩した長い腕。妙にクネクネしたフレキシブルパイプ。雪だるまをひっくり返して四肢をつけたような、重心の不安定なシルエットはなんだか浮遊感があって、まるで風船のよう。それをつまんで手で持ち上げてみると、まるで風船を持たされた子供になった気分。不思議な満足感があります。

▲ハッチを開けてみると、笑う男がこんにちは。結局、こちらを採用しました。

 風船、スーツ、笑う男……。ラクーンのハッチを開けたその時、子供の頃に遊園地で見たピエロの記憶が蘇りました。顔は白塗り、口には大きく紅を塗り、星と涙のアイメイクをしたオーソドックスなスタイルで、体だけウサギの着ぐるみを着ていたそのピエロは、着ぐるみのままで玉乗りしたりジャグリングしたりしていて、とても芸達者だったのをよく覚えています。幼かった私は、すごーい、面白ーい、と思って見ていたのですが、次第に汗でピエロのメイクが落ちていくことが気になり出し、徐々に不気味な笑顔に変貌していく彼に、興奮と恐怖が混じり合う何とも言えない感情が芽生えていったのでした。

▲まさかこんなところで再会するとは……。
ハイパーアジア
ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。