エアブラシは筆の上位互換じゃない/できることとできないことを知るための、アーマーモデリング最新号。

 『アーマーモデリング』最新号はエアブラシ特集!カヴァーガールは東雲うみちゃんです。エアブラシを持っている/持っていないというのはいったん置いといて、どうしてわざわざ「エアブラシでできること」を特集しているのか、ちょっと考えてみましょう。

 プラモを塗装するのに使われる道具の2大巨頭、筆とエアブラシ。彼らはどちらかが優れているとかどちらが便利とかどちらが簡単みたいな、お互いに排他的な存在ではありません。実際に塗料を含ませてプラモの表面に直接触れる筆塗りと、空気と塗料を混ぜて霧状に吹き付けるエアブラシ塗装は、目的も効果もまったく違うもの。「着色する」という面では同じかもしれませんが、筆にできてエアブラシにできないこともあればエアブラシにできて筆にできないこともあります(もちろん両者を近づけることはできますが、ものすごい鍛錬や工夫、経験値が必要になるからこそ、道具がそれぞれ生きながらえてると捉えてください!)。

 模型誌で定番の「エアブラシできれいに塗装をするための基礎」ももちろん掲載されているのですが、それはエアブラシを使う上での基本のキ(そしてこれは実際に使うことで素早く身につけられるタイプの中身です)。その先に、「エアブラシでどんなことができるのか?」というのを掘り下げていくのが今回のアーマーモデリングの特徴と言えるでしょう。

 その最たるものが「テンプレートを使う」という技法です。決まったカタチの穴が開いた金属板や樹脂板を使って、筆ではちまちま描き込んでいくことでしか実現できないようなパターンを模型の表面に素早く均一なタッチで描いてしまえる、というのが超大事。これ、缶スプレーでは圧力が強すぎて小さなパターンはうまく表現できません。まさしく「ソフトなタッチでミストを噴霧するエアブラシだからこそできる方法」なんですよね。

 テンプレートを模型表面に近づけたり遠ざけたりすることで違う効果が出ること、「そんな効果を出すためのテンプレートもあるの!?」という発見。絵画を描くように絵筆を使って精細なタッチを使いこなして実現することも不可能ではありませんが、それをいくつかの機材のあわせ技によって素早く再現性のある方法で実現できるのがエアブラシ。まさしく凡人が達人になり、偶然が必然になるのもエアブラシの効能のひとつと言えます。だからこそ、エアブラシを持ってるのと持ってないのでは違うし、エアブラシがあれば筆を捨てていいわけじゃない、ということがよーく分かります。

 あくまでも「どっちが上」じゃなく、機材ごとの得意不得意をカバーし合うことで模型の塗装表現に幅をもたらしてくれるエアーブラシ。ただただキレイにパーツをまるっと塗るだけじゃないんだ、ということを頭の片隅に置いて読めば、「エアブラシを買う意味」「あえて買わずに筆で戦う意味(その難しさ!)」もわかるはずです。みなさんも、ぜひ!

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。