

元禄から令和まで、姿かたちを変えながらもずっと隅田川をまたいでいる新大橋。永代橋や清洲橋といったレトロな佇まいとは対象的に、とびきり現代的な姿を持つこの斜張橋を見ていると「昔、ここを都電が走っていた」というのはなかなか信じられません。しかし、明治45年に架けられた先代の新大橋の上では、自動車と都電が仲良く走っていたのだそうです。いまや道路にも橋にもその痕跡は残っていませんが、起点と終点をかつての都電と同じくするバスが運行されています。
今では地下鉄とバスが東京都民の公共交通機関として活躍していますが、昭和の時代の主役は紛れもなく路面電車でした。最盛期の路線図を眺めると、23区全域の主要な道路を網羅するかのように線路が敷かれているのがわかります。東京五輪開催と前後して行われた都市開発と自動車の交通量増加によって劣勢となった都電は、いまや荒川線(東京さくらトラム)を残すのみ。
さて、日本における鉄道模型といえばNゲージ(1/144〜1/150スケール)についで16.5mmゲージ(1/80~1/87スケール)がメインストリームですが、グッドスマイルカンパニーから1/24というとんでもないスケールで東京都電6000形のプラモデルが発売されました。



パッケージはとても巨大で、その重量もなかなかのもの。ですが、開封してみると大変抑制の効いたパーツ分割になっていることがひと目で分かります。昔の鉄道が比較的単純な機構で、車内はほとんどが旅客用のスペース。さらに運転士は簡素な運転台に立って乗務していたことが説明書から読み取れます。





1/24スケールというのはカーモデルでよく見られる縮尺。この数字からは「鉄道模型的なアレンジではなくプラモデルとして様々な表現を盛り込めるサイズ」というだけではない意思を感じます。併用軌道(道路に線路が敷かれている)ならではの「都電と自動車」の対比も模型的には美味しい情景になりそうですし、近しい縮尺のフィギュアを散りばめれば電停の情景や車内の様子を覗き込めるカットモデルなんかも仕立てることができそうです。

銀座、新宿、渋谷、浅草。きらびやかな街に佇む人、クルマ、建物……。移ろいゆく東京の景色を想いながら、この都電をどんなふうに作れば「1/24」というスケールに込められたメッセージに答えられるかを考えると、ワクワクが止まりません。昭和の景色なのか、それとも都電がまだ活躍し続ける「もうひとつの令和」なのか、あるいは……。プラモデルだからできること、ビッグサイズだからできること、この縮尺だからできること。思いつくことは山ほどありそうです。さて、みなさんはこの都電にどんな景色を重ねてみたいですか?