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フォッケウルフを内側から理解するプラモデル、インボックスレビュー!/造形村 SWS 1:32 Fw 190 A-3

■本記事はボークスより商品の提供を受けて作成しています(PR)

 ドイツ空軍機という存在は、かつて模型や航空機の世界に触れる人にとって、ある種の「教養」として共有されていたものだったのかもしれません。ところが私が航空機模型を楽しみはじめたころには、そうした空気はすでにだいぶ薄れていて、航空機といえば国内で実機を見に行けるタイプがまず思い浮かぶ、そんな時代になっていました。だからこそ、定期的にドイツ機を世の中に投下してくれるブランドというのは、今ではむしろ貴重です。そういう意味で、ボークスのSWSシリーズが継続してフォッケウルフ Fw 190を送り出してくれていることは、それだけでちょっとした「文化的な出来事」だと思っています。

造形村 SWS 1/32 フォッケウルフ Fw 190 A-3

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 今回登場したのは1/32スケールのフォッケウルフ Fw 190 A-3。既存のA-4からのバリエーションキット(実機とは開発順序が逆!)という位置づけではありますが、個人的にはこれがはじめてのフォッケウルフ体験です。もちろん、「メッサーシュミット Bf 109と並んでドイツ戦闘機のツートップを張る機体」という程度の知識はあります。しかし実際に模型として組み立てながら内部を眺めていくと、その「ドイツらしさ」の中身がどんなものなのかが少しずつ見えてくるのが面白いところです。

 A-4との違いは、新規に追加されたランナーを見るとよくわかります。たとえば垂直尾翼。A-4では上端にマスト状のアンテナが立っていましたが、A-3では尾翼一体型のアンテナ配置になっており、その差異をしっかり新規パーツで再現しています。エルロンも同様で、A-4の中期型ではリブの本数が増えているのに対し、A-3ではリブの少ない初期型が付属。さらにSWSシリーズらしく内部再現にも抜かりはなく、A-4で搭載されていたFuG16ではなくA-3が装備するFuG7無線機を再現するため、無線機本体はもちろん、それに関連する配電盤や隔壁まで専用パーツが用意されています。コクピット後方のヘッドアーマーもA-4より小型のものが新規に付属していて、ほんのわずかな差異であっても「なぜここを変えたのか」が伝わるような作りになっているのが印象的です。

 今回のキットには爆装パーツも付属しています。戦闘爆撃機仕様、いわゆる“ヤーボ(Jabo)”として組む場合に使用するのは250kg爆弾。これも完全新規のパーツです。ヤーボという言葉は知識としては知っていても、こうして具体的な装備として目の前に現れると「ああ、これがヤーボなのか」と妙に腑に落ちて、今さらながらちょっと感動してしまいました。

 そして1/32 SWSといえば、やはり主翼内部の構造。桁パーツは見ているだけでも面白いのですが、それだけではなく、これがピタッと収まって外皮の翼を支える構造になっているところが実に気持ちいい。模型としての組み立て体験と、構造理解が同時に進むような設計です。外翼の機銃はこの桁に取り付ける構造になっていますが、今回のA-3ではここをカットする指示が出ています。最初は少し戸惑いますが、実際にやってみると案外なんとかなるもの。その代わり、内翼側により強力な機銃を搭載する仕様になっていて、武装配置の変化も模型の工程として体験できるようになっています。

 組み立てそのものは、パーツ同士の合いが非常によく、流し込み接着剤を使ってテンポよく進めていくことができます。ただし手が止まる瞬間があるとすれば、それは精度の問題ではなく、「中身ってこうなっているのか……!」とつい見入ってしまうから。接着した部品同士の組み合わせを、しばらく眺めてしまうような瞬間が何度も訪れます。

 たとえば垂直尾翼の内部。尾輪の支柱がフレームを避けながら後方へ伸び、最終的に垂直尾翼の可動部へとつながっていく構造を見ていると、合理性とこだわりがミキサーにかけられたような、いかにもドイツ機らしい設計思想を感じずにはいられません。エンジン周りも同様です。空冷エンジン自体は、たとえば零戦やSWSの雷電などで経験がありますが、Fw 190の搭載するBMW801では排気管の取り回しひとつを見ても性格の違いが際立っています。エンジン下部からひょろっと一本だけ飛び出している排気管を見て「これ何だろう?」と考え始めると、興味は尽きません。

 こうして内部構造を追いながら組み立てていると、まるで当時のドイツの職工の仕事を追体験しているような感覚になってきます。コクピットのラダーペダルから尾翼まで伸びていく制動索、その下に配置された燃料タンク、そして空冷エンジン機でありながら前面投影面積を小さく抑えるために内部がぎゅうぎゅうに詰め込まれている様子。そうした構造を外側からではなく内側から理解していく時間は、ただ模型を組み立てるというより、機体そのものを読み解いていくような楽しさがあります。

 非力なうえに扱いが繊細で故障の多い液冷エンジンよりも、大馬力で頑丈な空冷エンジンにこだわったのがFw 190誕生の大きなファクターです。星型エンジンのシリンダーブロックを積層する組み立て手順はこれまでにも何度となく体験してきましたが、プッシュプルロッドやバッフルプレートなどはもちろん、「コマンドゲレート」と呼ばれるめちゃくちゃこまかい総合調整装置も組み合わさると密度感がとんでもないことに。「機首下側の1箇所だけ集合排気になっているぞ!」みたいなことも、カタログ的な知識ではなく立体的に吸収できます。

 そうして気づけば、いつの間にか時間がどんどん過ぎていく。フォッケウルフという名前だけは知っていた戦闘機が、内部構造を通して少しずつ立体的な存在になっていく。その体験こそが、この1/32のフォッケウルフ Fw 190 A-3というキットの、ひいてはSWS(スーパーウイングシリーズ)のいちばんの魅力なのかもしれません。

造形村 SWS 1/32 フォッケウルフ Fw 190 A-3


けんたろうのプロフィール

けんたろう

各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。

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