

ひとつのモチーフが様々なメーカーからプラモ化されることは、僕たちにって本当に幸せなことです。それはメーカーごとの異なった組み味やスタイルを楽しめるから。自分の好みでキットを手に取れるのです。
そんな奇跡&幸せが活発に行われている作品のひとつとして、『装甲騎兵ボトムズ』が挙げられます。ウェーブ、マックスファクトリー、ボークス、エムアイモルデ(キャビコ)、コトブキヤ、BANDAI SPIRITSなどが本作に登場するロボット・AT(アーマードトルーパーの略)を多数プラモ化しています。今回はその中からBANDAI SPIRITSの「HG スコープドッグ ターボカスタム」をご紹介します。

BANDAI SPIRITSのスコープドッグは人気商品なので、なかなか店頭で見かけることがなかったのですが、先日ふらっと寄った模型店に1個あったのです。「やっと出会えたね〜〜」という一期一会を大事にして(海外のスケールモデルキットもそんな感じで買っているのよ)、いざ実食。食べてみると、「これまでのスコープドッグでパーツが外れやすいところのフォロー」、「動かしたい場所と動かなくて良い所の取捨選択のうまさ」が光る逸品でした。ターボカスタムも含めた、BANDAI SPIRITSスコープドッグバリエーションで共通する上半身に、BANDAI SPIRITSスコープドッグの工夫が凝縮されているのでした。

バイザー。スコープドッグといえばこのバイザーとカメラがアイコンです。劇中でもバイザーが可動する演出もあり、他メーカーのモデルはここを可動させ、さらに頭部の中が見えるように設計しています。それはスコープドッグが4メートルほどのメカということで、パイロットやコクピット内のディテールもみっちりとパーツ化できるという、メカ設定の美味しさを商品としてお届けしているから。
しかし、BANDAI SPIRITSのスコープドッグのバイザーは動きません。さらにバイザー奥も蓋がされていて、かわいいお団子みたいな頭部パーツになっています。「可動」を突き詰めるBANDAI SPIRITSらしからぬ選択に見えるのですが、ここには「外観完成への最短距離」と「パーツの取り扱いやすさ」を重視しようという意図が汲み取れます。この考えが可動とともに大きな柱となっているため、先ほど記した「動かしたい場所と動かなくて良い所の取捨選択のうまさ」につながるのです。
BANDAI SPIRITSスコープドッグの内側は「可動スペース」「組みやすくするための軸配置」に力点が置かれています。コクピットなどが欲しい人はプレミアムバンダイのアフターパーツをどうぞ! という誘導で、他メーカーのボトムズプラモとは差別化しているのです。

バイザーはがっちりと固定されて動かないけれど、カメラは回る。このカメラが回ってこそのスコープドッグだよねという部分はしっかりと押さえられています。

これまでのスコープドッグのボディ内部には見られない軸の形状。他社のスコープドッグプラモなら、コクピットの内部メカがボディ側面にセットされますが、BANDAI SPIRITSスコープドッグには「可動のための大事なパーツ」がセットされます。

この関節パーツです。このシンプルなパーツこそ、本キットの心臓。これまでのボトムズプラモにとっては考えられなかった可動、ガンプラ的な捻りや傾き、さらには頭部の俯きまで可能にします。

しかも取り付けは簡単。胴体にセットするだけで、極上の可動範囲が爆誕するのです。スコープドッグってこんなシンプル構成で、すごい動けるメカになるのか……と驚かされます。

肩関節の構造もびっくりしました。肩関節を引き出すための軸を肩側面に増設していたのです。この増設された軸は、しっかりとボディ外側側面に収まりながら、「肩の引き出し」を可能とし、ボールジョイントにありがちな「肩関節のヘタリ」も軽減してくれます。さらにターボカスタムは、肩パーツ自体も新規となっているので、さらに可動範囲がアップしています。
胴体には当社の工夫がバチバチに込められていて、BANDAI SPIRITSのスコープドッグでしか味わえないものとなっています。


個人的に一番嬉しかったのが、地味ですが、腹部のフック。根元にデカい取り付けブロックが用意されているので、パーツ強度と取り付けやすさが確保されています。これまでの他社のプラモでは、フックの先に小さな軸があって、胴体の小さな穴に刺すという方式が取られていました。そのため破損しやすいパーツとなっていたんです。僕も何回も折りましたし、無くしました。でもこの方法なら簡単には壊れないし、無くしにくいです。

外観完成への最短距離を目指す工夫は、関節パーツにも。エントリーグレードガンダムのプラモデルにも見ることができる、挟み込み構造を採用しています。そのためあっという間に腕が完成します。

取れやすかった肩のフックなんかも、フックをかける根元パーツの内側からフックを通し、肩に根元パーツを差し込むことでロックされるという構造になっています。これにより、フックが簡単に外れることはありません。

僕にとってBANDAI SPIRITSスコープドッグの初体験となった「HG ターボカスタム」。これまでBANDAI SPIRITSが送り出したスタイルばかりに目がいっていて、肝心のキット構造まで踏み込めなかったのですが、いざ組んでみると当社ならではの様々な工夫が散りばめられていてめちゃくちゃ面白いプラモデルでした。そしてターボカスタムといえば「下半身」です。ここにもさらなる面白さがみっちり詰まっていたのです。そんな話は、また次回。お楽しみに〜。