「ヴァジュラ」という言葉を聞いて、ランカ・リーの「アイモ」が流れる人と、影山ヒロノブの「鬼神童子ZENKI」が流れる人、世の中は二つに分けられると思いますが、私は後者です。
工具メーカー、ゴッドハンドさんのホームページを眺めていると私の頭の中に影山ヒロノブ氏の声が響きました。「きさげヴァジュラ」。バリ取りや合わせ目消しなどに使われるきさげの一種のようです。税込み3850円はなかなかですなと思いながらも影山ヒロノブ氏の声に押されて購入ボタンをヴァジュラ・オン。結論から言うと、最高にお気に入りの工具になりました。
類似の表面処理を行う工具というのは多くの種類が発売されています。私も色々と使ってきましたが、今まで私が使ってきた類似の工具ときさげヴァジュラを比べた際、最も大きな違いは剛性です。デザインナイフや細長いきさげでのかんな掛けがガタガタになってきれいにいかない。その原因は、当人の技術をさておくとすれば、刃を動かしたときの振動、いわゆるビビりが発生していることに起因していると思います。
きさげヴァジュラは全長9㎝、刃は一辺が5mmほどの先端の尖った三角形状。この形が金剛杵(ヴァジュラ)の三鈷杵に似ているからヴァジュラなのでしょうか。短く分厚い刃をグリップごと握りこめばそれはもう超硬くなった指の延長。削りたいところをすっすっとなぞるだけでゴリゴリきれいに削れて行きます。刃が厚いところに加え、しっかりと保持できるので本当にビビりが少ない。ZENKIも恐れ知らずですしね。
形状もよく考えられており、平らな面を使えば広範囲の面出しができます。先の丸くなったところを使えばパーティングラインなどをピンポイントに。先端の尖ったところは溝を掘ったり穴を広げたり。刃の厚みがあるので細かい所の奥など向いていないところもありますが、表面処理で対応できる範囲が大変に広いです。ZENKIも色々な形態をとりましたね。
切削力も程よく、力を入れなければプラを傷つけることがありません。今のところ、刃の部分を素手で触っても怪我はしていません。先端は鋭利なので気を付けなければいけませんが、取り扱いやすい工具です。ZENKIとはちょっと違いますね。
きさげという工具はデザインナイフやヤスリで代用できることもあり、中々手が伸びにくい工具だと思います。一度使ってみると大変心地よくプラを削ることが出来るので、表面処理を頻繁にする人で食わず嫌いの人がいたらおすすめです。
何よりこのきさげヴァジュラを工具入れから取り出そうとすると頭の中の影山ヒロノブ氏が叫ぶのがたまりません。BGMが流れる工具。最高じゃないですか。ヴァジュラ・オン・アーク。