筆塗り上手になりたい/「赤をキレイに塗る」の巻

筆で塗りたい。その気持ち、わかります。家でスプレーを吹きたくないとか、エアブラシを使うのが面倒とか、比較的安い筆というツールで結果を得たいとか、いろんな要因があると思います。が、筆塗りというのはけっこう難しい(だって、美大に行って学ぶ人がいるくらいなのですから)。とくに「キレイに均一に発色している状態」を作るなら、スプレーやエアブラシのほうが早くて簡単だったりします。また、溶剤の入った塗料のニオイや健康への影響を気にする人もたくさんいます。
しかし最近は高性能な水性塗料が多くの塗料メーカーから発売されており、数十年前にプラモをちょっと塗ってみて「なんか違うな」と不満に思った人こそイマドキの塗料を試してみてもらいたいのです。
無臭で伸びがよく、優れた隠蔽力(下地を隠す性能。これが高ければ何度も塗り重ねて表面がボコボコになったりムラになったりすることがなくなります)を持ち、さらに乾燥が早くて筆も水道水で綺麗サッパリ洗える……。こういう夢のような塗料のひとつが、イギリスで生まれたシタデルカラーです。
一本600円くらい、という価格に怯むかもしれませんが、先ほど書いたとおり隠蔽力が高く、筆で塗ることを前提としているのでものすごい面積を塗れます。なんせ私はいまだにシタデルカラー数百色のうち、一本も使い切ったことがないのですから。

 今日ご紹介するのはシタデルカラーの「BASE」というラインからこの一本。「メフィストンレッド」です。

▲「BASE」というのは「1番目に塗る色」です。とにかく隠蔽力番長です。

 シタデルカラーを塗るときはまず瓶を死ぬほど振って中身を撹拌します。棒を突っ込んで混ぜると空気と反応して中身が変質してしまうので、蓋を締めた状態でブンブンブンブン振りましょう。そしてパカッと開けると、蓋にベロのような部分があり、そこに塗料がくっついてきます。濡らしてからよく水を切った筆の先でちょろっとすくいます。

 適当なマグカップに水道水を張っておきます。塗料を付けた筆の先端を「ちょん」と水にタッチさせます。ドボンと付けるのではなく、先端だけが一瞬触れる程度で構いません。この儀式が大事なのです。

 クッキングシート(ペーパーパレットでもいいのですが、安くて使い捨てしてもあまり惜しくなく、夜中にいきなり塗りたくなってもコンビニで買える!)の上で数秒間こねこねします。これで準備完了。

 プラモの表面に筆を当て、一気にわしわしわし〜と塗り拡げていきます。ビビってちょんちょんぺたぺたと塗料を乗せていくのではなく、ボテッとくっついた塗料を筆の弾力を使って広げていくイメージ。このほうがキレイに素早く平滑な面になり、発色も均一になります。

 写真ではわざと「そんな塗装で大丈夫か?(イーノック!!)」という状態を作っています。プラスチックの表面に直接塗っても定着しないことはないのですが、けっこう条件がシビアになるので「ヤスリをかけて表面を荒らしておく」「つや消しスプレーで表面を少しだけザラザラした質感にしておく」「サーフェイサー(模型用下地塗料。スプレータイプのものが吉)を吹いておく」のどれかを推奨します。今回は薄いグレーの缶スプレーでサーフェイサーを吹いて、しっかり乾燥した状態で筆塗りをスタートしています。

 今回使っている筆はゴッドハンドの「ゴッドハンド 神ふでシリーズ うぶげ 斜め筆M」です。うぶげシリーズは水性塗料との相性がよろしい、という触れ込みだったので試用しています。「斜め筆(平筆の先端が斜めに切り落とされている)」のいいところは、平筆として太く広く使うこともできるし、先端の尖ったところで細く狭く使うこともできるという点にあります。上の写真2枚を見比べると、縦に使うか横に使うかで異なる機能が発揮されているのがわかるはず。
 それにしても、こんなにボッテボテに塗料が乗った状態で、まだらになったり乾燥後に盛り上がったところができたりしないの!?と思うかもしれません。

 5分ほど筆を走らせて、塗り残しがないか確認しながらくるくると塗っていった状態がこちら。塗膜はきっちりと乾き(夏ならば10分もすればペタペタ触っても大丈夫なほど乾燥します)、しっとりとした半ツヤの状態になっていることがわかるはずです。そして何より、赤がパキーっと発色していて、下地が透けたり塗料が溜まって膨らんでいたところもキュッと締まってキレイな面になっています。
 「いやいやいや、足とか顔とか肩のキャノンとか、はみ出しまくってるじゃん!」と思ったそこのアナタ。これは次回で解決します。それじゃあ、また。

■ゲームズワークショップ 21-03 シタデルカラー MEPHISTON RED

■ゴッドハンド 神ふでシリーズ うぶげ 斜め筆M キャップ付 模型用筆 GH-BRSUP-NM

■タミヤ メイクアップ材シリーズ No.44 ファインサーフェイサー L (ホワイト) 87044

■BANDAI SPIRITS ガンダム情景模型 1/250 テキサスの攻防 (機動戦士ガンダム)

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からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。