

まるでコラ画像みたいな薄っぺらい機関車です。薄っぺらい顔面だけがあって、前後に小さな車輪が張り出している……。この妙な格好を5月の静岡ホビーショーで見かけて「うわ、組みたい!」と思いました。なんだかよくわからない物体のことを知るには、自分でプラモデルを組み立てるのがいちばんだからね……。
このブロイアーIVというのはドイツで開発されたスイッチャー(入換機関車)です。長大な列車を引っ張って線路を走るには大出力の機関車が必要ですが、自ら動力を持たない貨車や客車を順番に繋ぎ替える作業には小さくて小回りが効く専用の機関車が使われます。

貨車を押したり引いたり、前進して連結させたらすぐに自分がバックしたり……と頻繁に進行方向が入れ替わるとなると、長い機関車では運転士がその都度運転台から降りて前後に歩いていかなければいけませんが、前後に顔がある薄っぺらい機関車なら運転士はその場で回れ右すればすぐに逆方向を向いて運転できますね。

付属の運転士は超イケメン。3Dモデリングで造形されたと思しき彫りの深いフェイスが小柄な入換機に命を吹き込んでくれます。さらにおもしろいのが彼の腕。手すりとそれを握る左手〜肩口までが一体でパーツになっているのですが、手すりの中程を握るのか上の端を握るのかで運転士が低い位置のステップを踏んでいるのか、高い位置のステップを踏んでいるのかを選択できるという寸法。イラストで言うなら「差分」みたいなもんで、これはデジタル造形時代ならではの遊びです。右手にカンテラを持っているのもいいな〜。

で、みなさんにおすすめしたいのは本体もさることながらレールの組み立て。本キットには長さ18cmくらいのレールが2セット付属しています。木目の入った枕木やレールを固定する金具も立体的な彫刻でめちゃめちゃ盛り上がります。

片側からスーッと滑らせるようにレールを差し込むとその精度に驚かされます。たったこれだけの工程でめっちゃリアルなレールができるのがまず面白いのですが……。

枕木から突き出している奇妙なカタチの出っ張りはお互いが噛み合うように設計されています。片側だけが噛み合うように無理やり枕木を曲げていくと、緩やかな曲線レールが出現するという寸法。

プラスチックの曲げ特性を使った少々強引な方法ではありますが、そもそも鉄のレールだって相当硬いはずなのに細くて長いから曲げられるんですよね。この製品の設計では枕木の端が少々不揃いな印象になったり、中心部に不要な(枕木の間隔を決めるための)細い角棒がくっついているのが気になるといえば気になるのですが、たとえばジオラマを作って枕木を地面に固定してから不要部分を切り飛ばしてもいいでしょう。

このレール、AKインタラクティブが最近一挙に発売した1/35の鉄道車両シリーズにはだいたい入っています。側面が錆びた茶色になっていたり、車輪で踏まれる部分はフレッシュな金属光沢を保っていたりとプラモデル的にも塗りがいのあるモチーフ。機関車や貨車もいいけど、それらを支えるレールにもぜひ注目してください。そんじゃまた!