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「誰もが簡単にディテールアップパーツを駆使できるわけではない」という現実/プラッツ nunu BMW M8 GTE 2020 デイトナ24時間レース ウィナー

▲入っているのはエッチングパーツだけじゃない!

 プラッツ BEEMAX・nunu製の1/24 BMW M8 GTE 2020 デイトナ24時間レースウィナーのキット内容は別の記事としてまとめたが、同キットに関する件で絶対に触れておかねばならないことがもうひとつある。別売のディテールアップパーツの存在についてだ。
 プラッツの公式サイトにその内容がきちんと記載されていないのがもったいないほどで(いまからでも追加すべき!)、その内容がとにかくすばらしいのである。

 このディテールアップパーツには、キット版では再現されていないCFRP(カーボンファイバーコンポジット)パターンがきちんと印刷されたデカールや、アンダーパネル用デカールなど、大判シートを含め5枚ものデカールが付属している。
 さらにエッチングパーツは2枚入りで、多くのプロモデラーがエッチングパーツに置換しそうな箇所はすべてフォロー。シートベルト用のリボンとエッチング製の金具を組み合わせ、シートに接着することも可能だ。

▲予め貼る場所のカタチに印刷されたデカール。編み込まれたカーボンファイバーの目の方向までバッチリだ

 また、窓枠はキット同梱のマスキングシートを使い黒い塗料で塗り分けてもよいのだが、ディテールアップパーツ内のCRRPパターンの入ったデカールを貼れば、塗り分けの手間が省けると同時にリアリティを高めることもできる。

 その他にも、インテリアに装着するべき遮熱用金属ホイルもワッフル状のパターンが入ったメタルステッカーで再現、メタル挽き物のコネクターバルブやアンテナ基部も同梱。極細の金属製アンテナ線パーツも付属している。

▲キット本体にもデカールやマスキングシートは入っているが、ディテールアップパーツはさらにラクができる!
▲ワッフルパターンがエンボス加工された金属製粘着シート

 ちなみにこうしたディテールアップパーツを正しく使うため、プラッツは国内での販売用に日本語による組み立て説明図をわざわざ新たに製作し直している。その組み立て説明書が出色の出来具合で、プラスチックモデル本体の組み立て説明書にひけを取らないほど詳しい内容にて構成されていることに驚かされること必至なのだ。

 カーモデル製作に慣れているモデラーならば「たかだかディテールアップパーツに対しここまで詳しい組み立て説明書が必要なのか?」と首を傾げる人もいると思われるが、プラッツはそうしたベテランモデラーだけを相手にしているわけではない。「誰もが簡単にディテールアップパーツを駆使できるわけではない」という現実に対し、真摯に対応した姿がこの組み立て説明図なのだ。

▲かつては自分で試行錯誤する必要があったディテールアップだが、このキットなら説明書も抜かりない

 もっとも、キットの本体価格が4,620円するのに対し、ディテールアップパーツの価格は3,190円(キット価格の3/4ほど)なので、「……高っ!」と感じる人もいるだろう。

 ただしひと昔前ならば、こうしたマテリアルをひとつひとつ調達して適材適所で追加していくのがプロモデラーの嗜みだった。そうしたディテールアップパーツが一気に入手できて、その使い方を異様なまでくわしく指示した組み立て説明書の存在まで考えると、「3,190円という価格は決して高くない」と言えるはずだ。

 とにかく自分のスキルに合わせてどこまで踏み込むかを選べるあたり、このキットの懐はとことん深いと言うことができるだろう。

ホビコレ プラッツ/NUNU 1/24 BMW M8 GTE 2020 デイトナ24時間レース ウィナー用ディテールアップパーツ

あさのまさひこ
あさのまさひこ

知る人ぞ知る、知らない人はまったく知らない模型文化ライター。
五十嵐浩司氏との共著『’80sリアルロボットプラスチックモデル回顧録』(竹書房)絶賛発売中。

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