先日nippperでも紹介した「模型のメディア論」の著者・松井広志さんにお会いする機会を頂きまして、私まいど!がインタビューしてきました! 松井氏から見たnippperってどんなものですか?


松井氏は自宅には模型部屋を備えエアブラシも完備するモデラーです。nippper愛読者。また定期的に刊行される模型誌はもちろん、模型誌から発売される別冊も数多く読まれています。
まいど! 「既存の模型誌&模型ウェブサイトとnippperの違い」って感じますか?
松井 nippperは模型「以外」の領域のブログとの共通性が多いです。もっと言うとインスタに近いです。インスタのインフルエンサーと結構共通しているなと思いましたね。

松井 既存の雑誌メディアは網羅性とかカタログ性、あるいは体系性を備えています。でも現在の若い世代になればなるほど、雑誌はそうした性質ゆ えに「リアル=現実的」に感じていないように思えます。私個人としては、そうした傾向は残念なことですけどね。

松井 一方、nippperはトップページに模型に関するさまざまなカテゴリーの記事がサムネイルで並んでいます。一見雑多にも見える印象ですよね。これが、インスタやTwitterのタイムライン的な「リアル=現実感」を出しているのだと思います。

松井 もちろん、内容は既存の模型誌と同様に、高度な知識を前提に書かれているんですけど、文体も含めて親しみやすいものになっていますよね。
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松井 人気インスタグラマーが良くやるファッションアイテムじゃないのを取り入れたりとか、手作り感というか内輪を見せるというか。それと同じで、体系性のなさや突発性をnippperには感じます。
まいど! nippperと個人ブログの共通点と違いってありますでしょうか?
松井 ファッションや音楽レビューなどのブログが例としてわかりやすいですが、模型関係も個人ブログは書き手のセンス=世界観がダイレクトに出ます。
松井 nippperはそうした個人ブログと同様な面を備えていると思います。ただ、さらに言うと、さまざまな書き手がいるのが違うところかなと。よりもっと多様なもの、つまり、各書き手それぞれの世界観のある種の断片も含めて出そうとしているように見えます。
まいど! ではインスタとの類似点を教えてください。

松井 nippperはある種のプラットフォームに近いものだと思います。所謂メディアの中の一つではありますけど、特にさまざまな書き手を募って いるところなど、模型のプラットフォームをつくろうとしているように見えます。断片的にいろいろな書き手=モデラーの個性が登場しているので、そうした部分がより展開すると、前例がない模型の先駆的プラットフォームに なると感じています。
まいど! 模型以外の他のジャンルの所謂メディアとの類似点はありますか?
松井 最近メディア業界ではプラットフォームづくりって結構流行っているんですよ。これまではYouTubeやインスタといった巨大プラットフォームの中でコンテンツを出していくだけでした。それはもちろんこれからも続くでし ょうが、さらに最近では、特定の分野に特化したプラットフォームそのものを作ろうという動きも出てきています。例えば批評とか言論の領域で は、東浩紀さんが「シラス」(shirasu.io/)を作られています。僕は音楽にあまり詳しくないのですがインディーズバンドの無料配信プラットフォーム「Eggs」(https://eggs.mu/)のような巨大なプラットフォームでいろいろな投稿者が配信できるものもあります。意識されているかは分かりませんが、nippperさんはプラットフォーム的志向を持っていると感じます。