
「フミテシよ……なんか小さくて速攻カタチになっていきなり筆でぺろぺろ塗るとモテる、そんな夢みたいな戦車模型が欲しい……」と大名か王様にしか許されないような無茶苦茶な要望を模型店の棚のスキマでつぶやいていたら「コレいいっすよ。マジすごいっすよ」と棚からフミテシが抜いてきたのがこれ。
最近はホラ、プラモの箱をテープで留めているお店がほとんどだし、ネットショップで買うと中身がどうなっているかわからないじゃないすか。だからnippperはどんどんハコを開けて皆さんに見せびらかし、「オッいいじゃん」と思ってもらいたいんだよな〜。
……ということで、オープン・ザ・ボックス。

まずメルカバというのはイスラエルの超ヤル気戦車なんですが、そのディテールがめちゃくちゃSFメカみたいですごい。ガサガサのところ、つるつるのところ、丸いところにタイルみたいな装甲に……と、複雑な旨味がこれでもかと詰め込まれています。しかもこのプラモ、1/72なので旨味成分が凝縮されていて二郎のスープの底で飽和しているグルエースの如き濃厚さで迫ってきます。

これがワンパーツって、びっくりしますよ(プラモが好きな人なら「スライド金型の3世帯住宅や〜!」と彦摩呂みたいになります)。もうこの車体上面とさっきの砲塔を合体したら9割完成じゃないすか……なんすかこのプラモ。

昨今のプラモ、すごく精密なのはいいんですけど実物の形状に迫ろうとするあまり、パーツが多めのものがけっこう多いのです。しかしこのプラモは「戦車模型のめんどくさいところ、全部こっちでやっておきましたから〜」という声が聞こえてきそうないきなり感に満ち溢れています。
そして極めつけがこちら。

いきなりステーキでハンバーグ食べたことありますか。信じられないくらい生のひき肉のカタマリが出てきて、肉汁がジュワジュワ出てくるのをソースに付けながらちびちび食べるのが最高なんですが、あれが肉マイレージのコストパフォーマンス(マイル/価格比)にもっとも秀でていることは覚えておいて良いでしょう。
それはそうと、履帯(キャタピラ)と転輪(と起動輪と誘導輪)が全部一体になってます。これを一つずつ切って貼って……というのがしんどいときは、こんな箸休め的プラモに癒やされたいよね……。


兎にも角にも、最低限度のパーツ数で最大の立体感を演出できるように考え抜かれたパーツ割りはあっぱれのひとこと。「うおー!戦車作ってみたい!」と思ったときに、店に入って椅子に座ったら食べられる状態で即出てくる!というまさにいきなりステーキのようなこのキット。マジで箱開けたときに「えっ、すっご!」と叫んでしまいましたので、これを読んだ人は軽率にホビーボスの1/72戦車シリーズを買って、「えっ、すっご!」と叫んでください。
みなさんも、ぜひ。