あえて「邪魔者」を作る。/フェンス越しに燃えるプラモへの愛

 完成したプラモデルをテーブルの上に置いて眺めたり、床に置いてはいつくばって眺めたりしているとプラモデルへの愛が溢れてきて時間を忘れてしまいます。

▲完成した1/72 ハセガワF-16Aプラス。優しい光が入る窓辺のテーブルに置いて眺めると幸福です。

 ただただ眺めているだけで十分幸福なのですが、愛は少し邪魔が入った方が激しく燃えるものです。

 早速、邪魔者を作ってみましょう。

 タミヤの楽しい工作シリーズのプラ棒を使って、フレームを作ります。簡単な工作こそ、同じ長さに切る、水平垂直を気にする、プラ棒の小さな断面に接着剤を流す、という基本動作を満喫できます。

 そこにダイソーで買ってきた網戸補修シールを切り取って、瞬間接着剤で貼っていきます。適度に柔らかい素材で切り取りも簡単で、接着剤でくっつくので便利な素材です。

 そして最後にシルバーのスプレーをブワーっと吹きます。もう何を作っているのかお分かりかとおもいます。そう、フェンスです。

 空港や基地はたいていフェンスで囲まれており、外から飛行機を眺めようと思ったらフェンス越しに眺めるか、フェンスの隙間からカメラのレンズを差し込んだり脚立を立てたりしなければなりません。そのやきもきした気持ちをプラモデルで再現してみました。

▲フェンス越しに眺めるF-16。思った通りフェンスが邪魔ですが、ぐっと魅力的に見えます。
▲こっちを向いてくれないパイロットに余計に愛の炎がメラメラと燃えます。

 フェンスを挟んでプラモデルを眺めることで、擬似的に「内」と「外」が生まれ、フェンスで囲まれた場所であるというシチュエーションが発生し、大掛かりなジオラマを作らなくてもここが空港や基地であるというイメージが湧いてきます。さらに平安貴族の「垣間見」から始まる恋のように、隙間からのぞくことでプラモデルがより魅力的に見えてきます。

 ちょっとしたひと手間でもう一度プラモデルに恋をしてみませんか。

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C重油

1991年生まれ。山口県の小さな漁港出身。大きな港に就職し大きな船を見ているうちに船の模型が作りたくなり、フルスクラッチも始めた普通の会社員。